不二製油は27年度を最終年度とする新中期経営計画「United for Growth2027」を策定した。
「植物性素材でおいしさと健康を追求し、サステナブルな食の未来を共創する」2030年ビジョンの達成に向けた第2フェーズと位置付け、グループ全体のガバナンス深化とチョコレート用油脂(CBE)やコンパウンドチョコレートなど成長領域の強化、カカオ不使用のチョコレート素材や植物性ダシなど挑戦領域の拡大を進める。
最終27年度の定量目標は事業利益450億円(24年度実績133億円)、ROE10%以上(同1.8%)、FUJIROIC6%以上(同2.1%)の達成を目指す。
不二製油グループは前中計(22-24年度)の3年間で、チョコレート油脂やコンパウンドチョコレートの販売数量拡大、植物性油脂事業の収益拡大、乳化・発酵素材事業での東南アジアでの収益化が進み、パーム油やカカオ豆のサステナブル調達やCO2削減などサステナビリティ目標も前倒しで達成した。一方で、カカオ高騰に伴う米国ブラマー社の損失発生や原材料価格高騰に伴う運転資本増加により、利益面・資本効率面では課題を残した。
大森達司社長は前中計の成果と課題を踏まえ、3か年新中計について「強固な事業基盤をさらに磨き上げるとともに、新たな挑戦領域の確立、全社一体となったガバナンスを強化推進する」と語った。
新中計の基本方針は①ガバナンスの進化②成長領域のさらなる強化③新たな挑戦領域の確立――の3点。
「ガバナンスの深化」では、今期から事業持ち株会社制に移行し、事業事務のマネジメント体制を強化。米国ブラマー社の収益改善を最優先課題とし、カカオ豆の在庫適正化とリスク低減を図るとともに、製品ポートフォリオの変革を進める。
「成長領域の強化」では、世界的な需要拡大が続くチョコレート用油脂(CBE)やコンパウンドチョコレートの拡販を進める。
CBEは高品質でグローバルなサプライチェーンを構築し、高まる需要への対応と収益力を強化。コンパウンドチョコレートはグローバルな供給体制を拡充し、今後3か年で販売数量10%増(米国ブラマーを除く)を目指す。(ブラマーは150%を計画)。
「挑戦領域」では、動物性代替脂やカカオ豆不使用のチョコレート素材、豆乳クリームバター、植物性ダシなど、不二製油の独自技術を生かした付加価値製品を強化。各エリアで新たな製品・新たな売り方・新たな市場創造に取り組み、これら挑戦領域の利益貢献を15%に拡大させる。
大森社長は「不二製油グループの価値創造の根幹は、植物性素材で人と地球の課題解決に貢献することにある。お客様や消費者が抱える課題にとどまらず、食糧供給や地球環境など社会全体の課題に対し、植物性素材を通じて解決につながる製品・提案を重ね、サステナブルな食の未来の実現を目指す」と意気込みを示した。