紀文食品は、従来のカニカマのイメージを刷新した新商品「The SURIMI」を9月1日から全国発売し、今春から訴求してきた“SURIMIブランド”のフラッグシップ商品に位置付ける。その一環として全国の百貨店や駅ビルでヘルシー惣菜「RF1」を展開するロック・フィールドとコラボし、「RF1」店頭で「The SURIMI」を使ったメニューを期間限定で販売した。
ロック・フィールド「RF1」とコラボ
紀文食品は21日、「The SURIMI」新商品発表会を開催。発売背景について堤裕社長は、「紀文グループでは2024年6月に新たなコーポレートブランドメッセージとして『すこやかなおいしさ、日本から』を策定。味覚としてのおいしさに加え、身体や心の健やかさ、一人一人の楽しい思い出や体験、更には社会的な豊かさの実現など、食を通して提供する価値を『すこやかなおいしさ』と定義した」と基本方針を説明。
このブランドメッセージを実現するため、今年4月より「練り製品からSURIMIへ」をテーマに活動を開始。その一環として若年層に向けた新たな食品開発に着手。即食性が高く、ワンハンドで食べられる「すりみのちから SURIMI」ロゴを付けた「SURIMI BARシリーズ」を今春から発売。既存の主力商品パッケージにもロゴを付け、ウェブサイトを通して栄養価値や汎用性など訴求。海外ではカニカマが日本発のヘルシーフードとして人気があることなどを発信。「日本の練りもの文化を次世代へ継承するため、世界で愛されるSURIMIの魅力に再注目し、そのおいしさと魅力を広く発信してきた」。

「『The SURIM』は次の段階へ踏み出す新製品」と語る堤社長。「2年の歳月を経て開発し、味、製法、デザインのすべてにおいて、従来のカニカマのイメージと利用シーンを刷新し、オシャレに楽しく、料理がパッと華やかになること」をコンセプトにした。120g希望小売277円(税込)。
カニカマはヨーロッパでは「SURIMI」の名前で広く認知され、現地のスーパーでは多彩な商品を展開。フランスは日本の人口の約半分だが、カニカマの消費量は日本とほぼ同等。「美食とファッションの国として知られ、洗練されたライフスタイルを持つフランスでは、日本で生まれたカニカマがSURIMIとして生活に深く根付いている」とし、「シーフードとして受け入れられており、日本発の食文化が海外で高く評価されている事実を、より多くの人に伝え、『The SURIMI』を通して食材の価値や楽しみ方を発信する」考えだ。
新商品の商品特徴を伝えるため、店頭ではロック・フィールドとのコラボレーションにより「RF1」ブランドのイメージを活かしたオシャレでヘルシーなメニューを提案する。またテレビCMなどを通じて「カニカマ」の新しい魅力も伝える。「練り製品からSURIMIへのテーマのもと、日本の食文化を継承し、世界に発信する」。

技術革新でふっくら食感
「The SURIMI」の商品特徴について坂上美樹セールス・カテゴリー推進室スリミ製品カテゴリー部部長は「新製品は①新技術導入により、より本物のカニに近い食感と味わいを実現②保存性と利便性の向上③新たなカニカマユーザーの獲得の3つのポイントを重視した」と言う。
技術革新では、製造工程に新開発の加熱装置を導入。加熱にムラが少なく、製品のしなやかさやほぐれやすが向上。ふっくらとした食感を実現。原材料にアラスカ産のスケソウダラを100%使用し、タラのみを使用することで雑味のないスッキリした味わいに仕上げた。
保存性と利便性の向上では、パッケージにはガス置換包装を採用。容器内の空気を特定のガスに置き換え、鮮度を保ち保存期間を延長。真空包装に比べ中の製品をふっくらした状態に保っている。中身はアラスカ産スケソウダラ100%使用。そのまま食べるのもいいがパスタやマリネの具材や彩り、フライなどいろいろな料理にも使えることも特徴。
新たなユーザー層の獲得では、ライトユーザー、ノンユーザーに店頭で手にとってもらうことを重視。従来のカニカマのイメージを一新した洗練されたパッケージを採用。流通業のバイヤーからも高く評価。9月1日からテレビCMの放映を開始し、多くの生活者に商品を認知してもらうよう取組む。
「The SURIMI」を使ったメニューは、商品パッケージでは最も利用頻度の高いサラダ、ベビーリーフサラダをメインメニューとして採用。加えてパスタ、パン、ワインに合うオリーブオイルのレモンのマリネなど、簡単にできて日常の食卓を豊かにするメニューを提案。店頭やWEBではロック・フィールドのRF1ブランドとのコラボメニューを提案する。
アラスカシーフードマーケティング協会の宮城和枝氏はスケソウダラの魅力について、「アラスカのスケソウダラ漁業は世界最大級の規模を誇り、過去20年間の年間平均水揚げ量は137万tに及ぶ。日本では魚をペースト状に加工したものをすりみと呼ぶが、欧米ではカニカマなどの水産練り製品全般を『すりみシーフード』と呼び、静かなブームになり、消費量も年々増加している。日本の食卓は多様化しており、『The SURIMI』新しい形のすりみシーフードになると確信している」と語った。

若年層、新メニューに期待感
店頭展開について高柳謙一郎セールス・カテゴリー推進室コミュニケーション企画部部長は「練り製品はやや古めかしいイメージだったが、今やSURIMIは世界の共通用語になっており、SURIMIを打ち出せば、新しいメニューの拡がりもできる。ロック・フィールドとコラボし、今までとは違うことをお客様にも知ってもらい、家庭でもRF1に近い形でアレンジできることをアピールし、練り製品全体のイメージを変えたい。
練り製品市場の主要顧客層は60代以上で、これが半分以上を占めたが、新製品の狙いは30代以上の若年層。スーパー営業への手応えは非常に良い。RF1とのコラボ商品やテレビCMの評価も高く、提案したスーパーにはほぼ全店に導入されると思う。練り製品売場全体をSURIMI売場なれば練り製品のポジショニングも上がるはずだ」など語った。
トリンドル玲奈さんとトークショー
新商品発表会では、モデルでタレントのトリンドル玲奈さんを招き、ロック・フィールドの企画開発本部商品企画室の坂本佳奈子氏及び紀文食品の坂上部長とトークショーを行い、お薦めの食べ方や利用シーンなどを説明。この中で坂本氏は「海外ではカニの代用品というよりは手軽なシーフードとして食べられている。日本やサラダが多いが、フランスはオードブルやパスタ、サンドイッチなどに使われている」と説明。トリンドル玲奈さんは「海外ではSURIMIと呼ばれているのを知らなかった」「おやつとして、そのまま食べてもおいしい」など感想を述べた。