2025年の漬物市場は、原料難や価格高騰といった課題を抱えつつも、新需要の取り込みが進んでいる。麺類との相性を生かした“具材性”の強化では、紅生姜や高菜漬、山形の「だし」などが市場での存在感を強めた。さらに高付加価値を前面に打ち出す“嗜好性”の提案も広がり、副菜からの脱却を目指す挑戦が加速している。
麺類需要との連動が、漬物に新たな役割を与えている。コメ不足や価格高騰を背景にラーメン、うどん、パスタは特需的に拡大。中でも玉うどんや3食入り焼そばといった素材型商品は節約食材としても定着し、コメの供給が回復しても一定の需要が見込まれる。この流れの中で、一部の漬物は麺類の具材として需要が旺盛だ。
紅生姜と焼そばの定番に加え、山形の「だし」に代表される粘り系和え漬も冷やしうどんやそばの具材として定着しつつある。キムチ・梅干もうどんや素麺に、高菜漬はパスタなどに応用されており、汎用性の高さが需要を押し上げている。主食の多様化を好機と捉え、調理素材としての提案を一層広げていくことが、世の中の変化に左右されない“漬物ならではの強み”を築く鍵となるだろう。
一方、嗜好品としての価値訴求も着実に広がっている。銀座に直営店を構えるやまうは、日本各地の気候風土に根ざした伝統の味から現代の嗜好に応える新しい味まで、四季折々の素材を生かして提案。高付加価値を鮮明に打ち出し、副菜の枠を超えた漬物の魅力を体現することで、“ご褒美需要”に応え支持を集めている。京都の漬物メーカーも「京漬物」としてブランド価値を守り続ける一方、奈良漬を使ったスイーツなど新提案にも成果を上げている。
こうした「具材性」「嗜好性」の両面で新しい需要を取り込む動きが広がる中、市場は品目ごとに動向が分かれた。上期はキムチが再成長の兆しを見せ、浅漬は野菜ミックスや惣菜系で需要を獲得。沢庵は干し大根不足からスライスシフトが加速しシェア集中が進んだ。生姜・らっきょうは高値安定、紅生姜は麺類需要を追い風に拡大。梅は雹害で国産不足が響き相場高騰が続いた。
下期は価格改定と原料確保が焦点で、キムチの値上げや国産梅干の相場が消費行動を左右する可能性がある。沢庵も新物確保が課題となり、酢漬類も相場次第で波及が懸念される。秋冬は鍋需要を背景にキムチや白菜漬の提案が広がり、簡便化や野菜摂取補完の効果が期待される。さらに米飯需要も底堅く、コメをよりおいしく食べるための漬物提案や、カレーや茶漬けとの連動を通じて需要活性化につなげることも肝要だ。
最終的には、副菜の枠を超えられるか、そして具材性と嗜好性の二軸を磨けるかが漬物の未来を大きく左右する。漬物業界の挑戦はなお続く。