暑さ寒さも… 変わる常識

「暑さ寒さも彼岸まで」という慣用句は、9月に時候のあいさつに使われてきたが、日本列島は相変わらずうだるような暑さが続いている。気象庁の3か月予報では10月まで気温が高く推移する見込みだ。

▼暦の上では秋でも高温が続き、季節の進行が遅れている。気候変動に対応して、2学期の始業式を遅らせる学校や、遊泳期間を延長する海水浴場も出てきた。食品業界でも、スーパーの売場では夏物商材の販売期間を延ばしチャンスロスを防いでいる。本来お盆後にはエンドから引き上げられていたそうめんが、いまも大陳されている。

▼この傾向は北海道でも見られる。7月下旬には十勝で全国一高い40度を記録した。もはや「北海道の夏は涼しい」は昔の話で、道内のエアコン普及率はこの10年間で1割から7割に増加した。北海道から全国販売するとあるメーカーでは道内の涼物販売を本州同様に1か月延長することに決めた。

▼「暑さ寒さも彼岸まで」という言葉には「困難が良い方向に向く」という深い意味も込められているそう。残暑が続くことがネガティブに動く業界もあるが、過去の常識で捉えず新しいアイデアを出すきっかけになってほしいところだ。