三菱食品100周年の節目の年に、新たな一歩を踏み出したベスト・ロジスティクス・パートナーズ(BLP)。三菱食品の物流事業を分社化したBLPの小谷光司社長は「食品卸売業の物流部門から総合物流会社へと飛躍を実現し、持続可能な物流の確保と事業成長の両立を目指す」と意気込む。BLP設立の狙いと今後の目指す姿について語った。
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ベスト・ロジスティクス・パートナーズ(BLP)の社名には、「お客様のパートナーとしてベストなロジスティクスを構築する」「全国400社の物流パートナーと最高の物流を作り上げる」という思いが込められている。
物流業界は2024年問題による需給バランス変化と効率化への対応、慢性的なドライバー不足とコスト上昇など「大変厳しい状況にあるが、環境変化をピンチではなくチャンスと捉え、BLPは物流の持続可能性確保と事業成長の両面で挑戦する」と決意を示す。
三菱食品が物流事業を分社化した狙いは、物流の持続可能性の確保にある。食品以外も取り込むことで効率化を促進し、限られた物流リソースの最大活用とその効果を食品にも還元できる。
小谷氏は「物流を三菱食品の成長ドライバーとして、『MS Vision2030』で掲げた経常利益500億円達成に大きな役割を果たしたい」と意気込む。
食品以外の分野に入り込むには、食品卸売業の枠組みを取り払い、総合物流会社となることが必要。物流事業会社と同じ立ち位置になることで、物流業界の課題認識を共有し、解決策を実践できる。そして、物流を成長事業にするためには物流専門人材を育成・確保することが欠かせないと小谷氏は指摘する。
BLPは取引先メーカー約6500社、納品先3000社。北海道から沖縄まで物流パートナー400社、物流拠点387か所、稼働車両台数7600台/日、庫内従業員数約2万人を誇る。社内リソースとして営業人材130人、センター運営人材400人、本部専門70人。物流会社として有数の規模感と人材を揃え、三菱食品グループが培ってきた物流ノウハウとネットワークをフル活用し、新たなサービス・価値を提供する。
BLPが提供するサービスは「センター運営」「物流コンサルティング」「物流エンジニアリング」「現場改善」「配送マッチング」など。センター運営では、温度帯や商品特性に応じて効率的で最適な物流スキームを提供し、物流網の拡充や効率化にも貢献する。物流コンサルティングでは、製品物流にとどまらずサプライチェーン全体をカバーし、得意先と伴走したハンズオンサービスを展開する。
配送マッチングは多くの企業が手掛けているが、三菱食品の「trucXing(トラクシング)」はBLPが契約主体となり要件をしっかりと確認したうえで、責任をもって届けることが強み。23年にローンチし、24年度の実績は3250台(前年比200%)。車両の空きスペース(余積)をリアルタイムで把握し、中小のロット貨物を自動マッチングする仕組みも構築中で、積載率向上に貢献する。
事業領域の拡大では、現在の食品分野から日用雑貨・衣料品・医薬品など非食品分野への展開を広げる。昨年からPALTACとの物流連携に向けた取り組みがスタート。「食品以外への展開は当初の想定よりも早く進んできた」と期待感を示し、「領域拡大で得られる合理化メリットを既存領域に還元していく」と語る。
BLPでは、お客様とともに全体最適の視点で持続可能な物流ビジネスモデルを構築し、物流の未来を切り拓く共創パートナーとなることを掲げる。計画物流/垂直統合によりサプライチェーンを最適化し、サステナビリティ重点課題の同時解決の実現と、三菱食品グループの成長を牽引する柱となるべく挑戦を続ける。