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加工食品菓子菓子卸・ナシオ、過去最高の売上高 仕入れ先と販売先が拡大

菓子卸・ナシオ、過去最高の売上高 仕入れ先と販売先が拡大

 菓子卸・ナシオの前期(5月期)売上高が前々期比10%増の705億2900万円に達し過去最高を記録した。

 増収要因について、7月23日、TOC有明コンベンションホール(東京都江東区)で開催された「2025お菓子・スイーツマッチング展示・商談会」で取材に応じた平元彦社長は「市場による効果(NB商品の値上げ効果)と、当社の施策などにより仕入れ先(メーカー)さまの拡大と販売先(小売企業)さまの拡大が図れたことが寄与した」と説明する。

 ナシオは近年、“地域と地域をつなぐ”を使命に掲げ地域商品の発掘を強化。同社でしか取扱いできないようなキラーアイテムや新規の仕入れルートを開拓して売上を拡大している。

平元彦社長
平元彦社長

 取引メーカー数は現在、約2500社。「1年間の肌感でいうと、200~300社増えている」という。

 展示商談会は昨年、東京で約12年ぶりに開催。今年は、昨年に比べ60社多い161社が出展し、来場予定のバイヤーも昨年の250人を上回る約360人の大幅増を見込む。
 「昨年、バイヤーさまを含め様々な方々から“普段お会いできないメーカーさまに会えて本当によかった”とのお声を頂戴して、2回目の東京での開催に至った」という。

 常温・冷蔵・冷凍の3温度帯の菓子・スイーツを取り扱っているのが、同社の強みの1つ。

 「3温度帯の中では常温商品の取り扱いが多い。昨年の展示商談会は、少し高単価な常温商品が多く、冷蔵とお菓子が少ないというお声を頂戴したことから、今年の展示商談会では、従来の基本のお菓子と冷蔵の幅を広げた」と語る。

「フルしゃりグミ みかん」(左奥)と「ザクラメグミ サイダー味」(手前)
「フルしゃりグミ みかん」(左奥)と「ザクラメグミ サイダー味」(手前)

 関連会社のノースカラーズの前期売上高は25%増の約25億円。

 「ノースカラーズはOEMに注力して新規を獲得し、春先からOEMの新商品が増えてきたことで売上が拡大した。もちろんオリジナル商品もしっかり伸びているが、伸び代としてはOEMのほうが大きい」とみている。

 昨年10月に設立した輸入販売を手掛けるクローマーライフは、2~3年後をめどに黒字化していく。
 クローマーライフからは、昨年末と今年3月に「フルしゃりグミ みかん」、6月に「ザクラメグミ サイダー味」をセブン‐イレブン限定で数量限定発売された。2品とも韓国で製造されたグミとなる。

 「グミ市場が拡大し日本のメーカーさまがなかなか作れないところを海外に少し助けてもらっているところ。ノースカラーズのやり方を海外にも活用していく。十分に伸び代がある」と期待を寄せる。

 10月にはヨーロッパなどから輸入したビスケットなど40品以上の展開を予定している。

 輸出事業は中国を中心に拡大。「(海外売上高は)まだ1億円程度。駆け出しであるので、まずは3億円の売上を目指していく」と述べる。

 ナシオ全体では今期、増収を目指していく。

 「(菓子市場について)値上げの影響によるものだと思うが、春先から伸び率が徐々に鈍化しており、秋からはチョコレートと米菓の値上げが待っている。読みづらい部分があるため、売上高は前年を割らないように中身をしっかり充実させていく」との考えを明らかにする。

 売上拡大による懸念材料には「お客様に対する質の低下」を挙げる。

 「売上拡大を目指すとお客様の数をもっと増やしていく必要がある。その中で一番やってはいけないのが質の低下。現在、人員増強を図るとともに、社員一人一人がお客様にご迷惑をかけないように土台を整えて数字を作っていきたい」と意欲をのぞかせる。

 ナシオは、本社(北海道札幌市)と首都圏本部(東京都港区)を中核に、東北支店(宮城県仙台市)・関西支店(大阪府大阪市)・中部東海支店(愛知県名古屋市)・中四国支店(広島県広島市)・九州支店(福岡市博多区)と全国に7拠点を構えている。

 この中で、本州を重点エリアに定める。「札幌は長年の歴史があり土台が整っていると思っており、現在、本州の人員をすごく増やし、本州へ重点的に投資している」という。

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