キンレイが業績を拡大している。食品事業の売上高は前3月期170億円、前年比8.9%増と伸長し、2025年度は180億円、5.5%増とさらなる成長を目指す。具付き冷凍麺の主力品「お水がいらない」シリーズが牽引し、特に「ラーメン横綱」「天下一品」などラーメン類の販売が好調だ。今夏以降、創業50周年を記念したキャンペーンやテレビCMなど過去最大級のプロモーションを順次展開、勢いを加速させる。
創業50周年、プロモーション大々的に
「お水がいらない」シリーズは2010年に誕生し、これまでに累計2億食以上を販売。麺・スープ・具材が一体になった独自の三層構造が特長で、鍋に入れて加熱するだけで本格的なおいしさに仕上がる。第1弾「鍋焼うどん」が好調なすべり出しをみせ、14年発売の「ラーメン横綱」が飛躍の契機となった。以降はご当地や有名店監修を中心にラーメンの品揃えを大幅に拡充し売上も順調に伸ばしてきた。昨年発売した「天下一品」のヒットは記憶に新しい。
このほど開催した記者会見の席上、白潟昌彦社長は「『鍋焼うどん』の需要は冬場に偏る傾向があったが、ラーメンは年間を通して売れる。当社の工場を安定稼働させる意味でも戦略的に強化してきた」と振り返る。
25年夏から「お水がいらない」シリーズの新プロモーションを展開する。コンセプトは「キンレイのおいしさってなんだ?」。創業50周年を機に、多くの消費者においしさを新発見・再発見してもらうことを目指す。
目玉は8月19日にスタートする「50周年大感謝祭」キャンペーンだ。来年5月7日までの長期間、商品購入ごとに貯めたポイントで特製鍋焼うどん2食セットやデジタルギフトなどが総計1万2300人に当たる。
久しぶりとなるテレビCMを10月13~31日に全国の主要エリアで放映。そのまま温めるだけで本物のおいしさが楽しめることを訴求する。さらには50周年特設サイトをオープン。7月中旬から半年間かけておいしさへのこだわりを全50本の記事で発信していく。

秋冬の最需要期に向け、看板商品「鍋焼うどん」のだしをブラッシュアップ。大阪工場と筑波工場に削り節機を新規導入し、鮮度にこだわって本来の風味や香りを感じられるように改良した。
25年度の目標は全社売上高で182億円、5.4%増。うち食品事業は180億円、5.5%増を計画。増収の背景には、「お水がいらない」シリーズの成長に加え、昨年稼働した亀山工場の効果も見逃せない。2年目は稼働時間を8時間から12時間に延長し、マーケットの旺盛な需要に応える。
森江康行常務営業本部長は「第1四半期は『お水がいらない』シリーズの定番品やラーメンの新商品が順調に推移。冷凍麺メーカーとして、おいしさの価値を追求し市場をリードしていく」と基本方針を語った。