キユーピー 海外事業の成長加速へ 3か国で増産、マーケティングも強化

キユーピーは、好調な海外事業でマーケティングと営業施策を徹底的に強化し成長を加速させる。背景にはアメリカ、タイ、インドネシアで増産体制が整ったことがある。7月4日開催の決算説明会において、髙宮満社長は「これからは躊躇することなく攻めの営業活動を展開できる。世界各国で『キユーピー』ブランドのプロモーションも大々的に行っていく」と語った。

今期海外売上1009億円計画

同社グループの海外事業会社では今年に入って新工場や新ラインの稼働が相次いでいる。昨年末時点と比較した生産能力は、アメリカは2拠点目のテネシー工場が完成し約2倍、新棟および新ラインが稼働したタイは約2倍、インドネシアは約2.6倍にアップした。

上期(12~5月)、海外セグメントは二ケタの増収増益と続伸した。11月通期は売上高1009億円(前期比9%増)と大台の突破を見込む。今期スタートした4か年の中期経営計画で最終28年度の海外売上高は1800億円を計画しており、設備増強で弾みがつきそうだ。

髙宮社長は「3工場とも非常に規模が大きい。それぞれさらなる拡張スペースを有しており、想定以上に需要が増えても2030年までは対応可能。(昨年末比で)アメリカとタイは3倍、インドネシアは4倍まで増産できる」と述べた。

当面の方針は「販売活動を徹底的に強化することはもちろん、世界各国で『キユーピー』ブランドの浸透を図っていく」との考えを強調する。

すでに今年の「キユーピーマヨネーズ」100周年を機に、グローバルで統一したプロモーションをスタートさせた。「KEWPIE IT.」をキーワードに、14の国・地域でデジタルとリアルが融合した施策を展開中。デジタル広告やSNSを活用しながら、レストランとのタイアップや店頭販促も強力に推進している。

「工場のフル稼働を目指し、下期以降も積極的なプロモーションと販売活動を行う」(髙宮社長)。

2工場で米州の開拓に本腰

アメリカは西部のカリフォルニア工場に次ぎ、東部のテネシー工場が稼働したことで、人口の多い東海岸へのスムーズな商品供給が可能となった。今後はカナダ、メキシコを含めた米州をターゲットに市場を開拓する。

髙宮社長は「自分の夢」と前置きした上で、「テネシー工場の隣接地には大きな空きスペースがある。将来的に第2工場を建設し稼働ボタンを押すことができたら」と展望する。

アジアパシフィックは各国とも順調に推移。人口増と経済成長を背景に、マヨネーズやドレッシングを利用する中間層が増えているからだ。加えて、同社の強みである多種多様な商品開発のノウハウを生かし、各国のニーズやトレンドに合わせた提案も奏功している。

中国は景気低迷の中でも底堅い需要をキープ。ただし現地企業との競合が激しくなっており、トップメーカーとしての販促強化、外食やECの深掘り、現地4工場の競争力向上を推進する。また約20年前から中国人民の食と健康に貢献する活動(学会発表、食育、工場見学等)を実施。「今後も継続して当社製品を選んでいただけるようにしたい」(髙宮社長)と話す。