袋でじゃがいもを育てて収穫しポテトチップスに調理する――。
子どもたちに原料のじゃがいもからポテトチップスになるまでのストーリーを伝える農育と食育を兼ねた新・教育プログラムが、7月3日、東京都の世田谷区立中里小学校(中里小)で集大成を迎えた。
同プログラムは、「カルビーポテトチップス」が今年で発売50周年を迎えるにあたり、カルビー・カルビーポテト・プロトリーフの3社の社員が約5カ月にわたって検討を重ねて共同開発したもの。
カルビーグループとしては初の試みとなり、中里小と大阪府の大阪市立豊崎小学校の2校をトライアル校に指定した。
3月、袋で育てるじゃがいもの土「ポテトバッグ」に栽培用種芋の「ぽろしり」を植えるところからスタートし、中里小では栽培は校舎脇で行われた。水やりは休み時間を利用し、当番制ではなく児童が自主的に行ったという。

この日は、収穫と調理の運びとなり、体育館には「ポテトバッグ」が24袋(1袋12L)置かれ、約40人の6年生がハサミで袋を割き一心に土をかき分けて収穫を体験した。
取材に応じた吉野有佐校長は「じゃがいもの有難さを実感できたはず。取り組む姿を見て、収穫そのものが子どもたちにとって物凄く実りのある活動であると感じられた」と語る。
中里小には菜園を備えているものの、校庭はゴムとなっており、児童が土や植物に触れる機会が少ない。今回、児童が土に触れるという点でも、貴重な機会となったという。
「もちろん1年生の頃からアサガオを育てたり、2年生だったらトマトを育てたりするが、植木鉢に種を植えて、あとは水やりする程度。今回、土に触れたのが新鮮だったようで、とてもイキイキと楽しんでいるようだった。土が苦手と言っていた子も、楽しそうだった」と述べる。
「ポテトバッグ」は、じゃがいものプロフェッショナルカンパニーであるカルビーポテトと、園芸用土の販売でトップクラスのシェアを誇るプロトリーフが共同開発したもの。
初期生育に必要な元肥もすでに配合されているため、種芋の「ぽろしり」をそのまま植えて水やりをするだけで初心者でも手軽にじゃがいも栽培できるようになっている。

2月、中里小を訪れ栽培のコツをレクチャーしたプロトリーフの加能裕一郎副社長は、収穫の手本を見せながら、じゃがいもは根ではなく地下茎の先端が肥大化したものであることや、光合成によってデンプンを生成し、畑に露出し緑化したじゃがいもには毒性があることなどを説明する。
栽培期間、学校から生育状況の写真が随時送られ、虫が発生した際にはメンテナンスに訪れたというカルビーの古澤大輔コーポレートコミュニケーション本部コミュニケーション企画推進課課長は「トライアル2校の結果をもう一度検証した上で、来年以降は学校数も増やしていけるようなスキームにしていきたい」と意欲をのぞかせる。
カルビーは2003年から、おやつの楽しい食べ方をテーマにした食育授業「カルビー・スナックスクール」や、楽しい朝づくりを意識づける「朝ハロしよ!教室」などの「フードコミュニケーション」を全国の小学校などで実施しこれまでに160万人の児童が参加した。
中里小は「カルビー・スナックスクール」のリピート校であることからトライアル校として白羽の矢が立てられた。
収穫体験は、総合的な学習の時間、調理体験は家庭科の時間を活用して実施された。調理体験ではポテトチップスづくりが行われた。
