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「地元のファンづくりから」 日本酒蔵再生の歩み語る 田中文悟氏

「酒蔵の再生でまず大切なのは地元の理解を得てファンになっていただくこと」と話すのは日本酒キャピタル代表取締役の田中文悟氏。大手ビールメーカーの営業から転身して独立し、これまで幾つもの酒蔵の再生を手がけてきた。現在は事業承継した5蔵を束ねる持株会社の代表を務める。

「知名度の低い銘柄のリブランディングは最低3~5年かかるし、地道な活動の積み重ねだ。とはいえ目の前から地方の酒蔵がなくなる事態は阻止したい。業界は多くの課題を抱えるが、市場規模をどうやったら維持・拡大できるか皆で考えたい」などと語る。

田中氏は、日本酒ブランド「SAKE HUNDRED(サケハンドレッド)」を運営するClear社とM&Aコンサルティングのストライク社が6月11日に都内で共催したセミナー「日本酒とM&Aのリアル」に参加。10年以上の交流があるというClearの生駒龍史代表取締役CEOと対談形式でこれまでの取り組みなどを語った。

独立後に秋田の「阿櫻」、富山の「銀盤」、新潟の「加賀の井」などの再建に携わった後、2018年から事業承継した酒蔵をグループ化。現在は秋田の大納川、富山の魚津酒造、岩手の紫波酒造店、鹿児島の日當山醸造、岐阜の平和錦酒造が名を連ねる。

グループの5蔵は決して業界のメジャーな存在ではない。承継した当初は「経営状態の厳しさはもちろん、地元の方に愛されている銘柄でもなかった」という。まずは地元向けに説明会を開き財務状況や再建方針などをていねいに伝えた。そうしたコミュニケーションを重ねることで応援団になってもらい、地元の酒屋や飲食店での取り扱いも地道に増やしていった。

再建の過程では社員との対話も重視。蔵人やスタッフだけでなく、承継企業の元オーナー経営者も雇用し、「疲弊した酒蔵がもう一度元気を取り戻せるよう、社員と語り合いながら経営していくことを大切にしている」と述べる。いまも全国各地のグループ蔵を月1回は訪問し対話を重ねる。これまでの実績について、「規模にもよるが、例えば3000万円まで落ち込んだ売上を2億円程度に引き上げることはできるようになってきた。どの蔵もかつて1.5億円ぐらいは売っていたからだ。ただ、それ以上になると設備更新などが必要になってくる」と説明した。

各蔵は酒質も向上している。大納川は全国新酒鑑評会で令和5酒造年度、同6酒造年度と2年連続で金賞を受賞した。紫波酒造店は新ブランド「紫宙(しそら)」を立ち上げ、「スター」「ダイヤモンド」「ハート」などを上市。ラベル違いで多様な味わいが楽しめる。

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