菓子専業卸・関口、さらなる物価上昇を見据えて商品価値の伝達力と買いやすい品揃えを強化

 菓子専業卸の関口は3月12日、宮城県仙台市で「令和7年 東北エリア春季大見本市商談会」を開催し、会場で取材に応じた関口快太郎社長はさらなる物価上昇を見据えて、商品価値の伝達力と買いやすい品揃えを強化していく考えを明らかにした。

 「先日もメーカーさまから夏以降の値上げのお話をいただいた。このようなご相談はまだまだ続くことが予想され、既に昨年に比べて物凄く多くの品目数で値上げのお話をいただいている。値上げ幅も従前と比べ大きくなっている」と指摘する。

 主食であるコメの価格高騰も懸念材料に挙げる。

 「主食が高騰し、主食にお金を費やさざるをえない中で、お菓子が買い控えられてしまう恐れがある」と語る。

 市場環境が一層厳しくなることを見込み、同社は基本に立ち返り本来の菓子の価値をしっかり提案できるような人財育成を推進していく。

 「(小売業に)メーカーさまの商品の付加価値をしっかり説明できるように、営業担当が商品1つ1つの商品情報を把握していく。同時に、価格がこなれたものを求められる消費者のニーズに対応すべく、買いやすい価格帯の品揃えも強化していく」と意欲を示す。

 東北エリアでは、3月24日に秋田支店を移転。現倉庫と比べて1.8倍広い350坪に新倉庫を構えて物流増に対応する。人員も増強する。

 関口は各支店で新卒・中途採用を随時行っている。東北エリアで直近では営業3人が中途採用で入社し、今春に新卒1人が入社予定となっている。

 今期(3月期)には、3か年の第2期中期経営計画が始動。前期売上高は260億円となる見通しで、第2期中計最終年度に、これを345億円に引き上げる。

 この牽引役として東北エリアに期待を寄せる。

 4-12月の全社売上高は前年同期比7.17%増を記録。この中で、東北エリアは10.45%増と高い伸びをみせた。

 「東北エリアが会社全体の売上げを引っ張っている。新規の獲得と帳合増がバランスよくできている。今のところ、大手卸さまの手が届かないところやフォローしにくいところまで対応できるような営業物流体制を構築したことが功を奏したと感じている」と振り返る。
約1300億円と推定される東北菓子市場でシェアアップを狙う。

 「市場は従来の1150億円の推定から、値上げによる金額の伸びとインバウンド需要や旅行者の増加で約1300億円に拡大したとみている。この中で当社も拡大し、今期(前期)の東北の売上高は少なく見積もって145億円。シェアは1割強を維持しており、これを2割まで引き上げていきたい」と力を込める。

 なお、見本市商談会の朝礼では、関口社長に続いて挨拶した仙台支店清野幹夫相談役は14年前の東日本大震災を振り返り「震災直後、亡き快流(かいりゅう)会長から言われたのは“お客様は恐らく先の見通しが立たず商売をこのまま続けてよいのか迷われているはずで、お客様のところを回り、関口は最後まで応援するから商売を継続してほしいと伝えてこい”ということだった。“支払いのことは一切言わないでほしい”とも言われた。今、東北で頑張れているのも、そこが原点になっていると思う」と語る。

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