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飲料嗜好飲料味の素AGF、徳之島コーヒー生産者会へ商業化に向けたコーヒー教室開催 収穫祭ではドリップバッグをアピール
KNOWLEDGE WORK 20260303

味の素AGF、徳之島コーヒー生産者会へ商業化に向けたコーヒー教室開催 収穫祭ではドリップバッグをアピール

欠点豆に学ぶ、品質向上の道

 コーヒー豆の収穫が遅れて過発酵してしまうと、「発酵豆」となり発酵臭や異臭がしてしまう。また、保管状態が悪くカビが生えてしまうと「カビ豆」となる。このような豆を「欠点豆」といい、これを取り除くことでおいしいコーヒーが完成する――。

 コーヒー豆の品質管理の説明を聞くのは、徳之島でコーヒーを生産する徳之島コーヒー生産者会のメンバー。欠点豆の実物を見たり、試飲したりすることで、おいしいコーヒー豆ができるまでを学ぶ。

 講師役を務めるのは、味の素AGFの社員。今年2月、「徳之島コーヒー生産支援プロジェクト」の一環としてコーヒー教室を開催した。

 コーヒー教室は、同社の社内資格「AGF コーヒー検定」の一環でもある。検定の受講者は“自分の言葉でコーヒーを魅力的に語れる”ことを目標に、筆記試験や実技を行う。

欠点豆サンプル
欠点豆サンプル

 コーヒー教室は、最上級の「コーヒーマイスター」の育成プログラムとなっており、今年で4度目の開催となった。

 これまでの3回は、コーヒーについての魅力を伝えることがメインの内容だったが、今年は新たに商業化に向けた品質教育が加わった。

 人事部人財マネジメントグループ主任の大熊翔吾氏は「栽培方法の話については、2023年12月にコロンビアから技師を招聘するなどをさせていただいていたが、収穫後の話はできていなかった。今回、生産者会からのご要望を受け収穫後の豆における品質の話をさせていただいた」と語る。

味の素AGFの大熊翔吾氏
味の素AGFの大熊翔吾氏

 徳之島でのコーヒー生産は順調に進んでおり、昨年10月には徳之島のコーヒー豆を使用した初のドリップバッグが発売された。これにより、島民の関心も高まっており、生産者会でもより高品質なコーヒーづくりをしたいという機運が高まってきているという。

 コーヒー教室は、生産者会にとってはコーヒーに関するノウハウ・情報収集の場であり、AGFにとってはパートナーシップを強化する機会と位置付けられる。

 大熊氏は「今までは、コーヒー検定の受講者が徳之島へコーヒー生産を学びに行かせていただいていたが、コーヒー教室を開催することで“こんなことが知れるんだ”と思っていただきウィンウィンの関係を築きつつある。社員にとっても研修で学んだ知識を自らの言葉で伝えることで、より学びが深まる機会になった」との手応えを語る。

 AGFコーヒー検定は、社員が研鑽を積む機会にもなっている。

コーヒー教室の様子
コーヒー教室の様子

 「検定受講者は、研究所やAGFの工場はもちろん、製造委託先や豆の受け入れ倉庫なども訪れ、AGFのコーヒー生産全体を網羅的に学んでいる」という。

島民にも魅力をPR

 生産支援プロジェクトにおいて、AGFはコーヒー教室などを通じたコーヒーに関する知識やノウハウのほか、コプロ肥料の提供などを担っている。

 徳之島コーヒーの知名度向上にも協力。
 徳之島コーヒー生産者会が主体となって2月11日に開催したコーヒー収穫祭をバックアップして盛り上げを図った。

 コーヒー収穫祭の目的は、徳之島コーヒーの認知拡大とともに、参加者に徳之島コーヒーの魅力をアピールすることにある。「丸一日、参加者に徳之島コーヒーを味わってもらう」をコンセプトに掲げ、午前はコーヒーの収穫体験、午後は焙煎体験や飲み比べを実施した。

「コーヒー収穫祭」でグラインドを体験
「コーヒー収穫祭」でグラインドを体験

 ファンマーケティング推進部コーポレートコミュニケーショングループの手嶋めい氏は「島の内外の方が参加され、収穫祭をきっかけにより多くの方に徳之島コーヒーを知っていただくことができた」と振り返る。

 収穫祭では、コーヒー焙煎体験について生産者会に指導を行ったほか、コーヒー染め体験のワークショップを提供。同社がメインスポンサーを務める「1ST CRACK COFFEE CHALLENGE(ファーストクラックコーヒーチャレンジ、以下1CCC)」の歴代チャンピオンがドリップしたコーヒーの飲み比べ体験も行った。

 飲み比べ体験では、徳之島コーヒーを含む4種類のコーヒーを無料で配布。徳之島コーヒーに対し、参加者からは「すっきりとした味で飲みやすくおいしい」との感想が寄せられた。

 収穫祭は午前・午後を通して、昨年の収穫祭の3倍以上となる約200人が参加。島民の間でも、徳之島コーヒーがじわじわと広まりつつある。

「コーヒー教室」では異なる豆を試飲
「コーヒー教室」では異なる豆を試飲

 手嶋氏は「ドリップバッグによって周知が広がっていることを実感した。ご家庭だけでなく、お土産やふるさと納税の返礼品としても活用されている。収穫祭にも、ドリップバッグを購入したことで関心を持って来てくださった方がいた」と述べる。

 昨年には南日本放送のMBCラジオから同社に依頼があり、初めてラジオで徳之島コーヒーの活動紹介が行われた。

 現在は生産者会のコーヒーづくりへの関心の高まりや生産者の増加、コーヒーノキの成長によって、徳之島コーヒーの収量は年々増加しているという。

 手嶋氏は「現在は限られた場所でしか飲めないが、いずれは産地の思いを形にした豆として、より多くの方に飲んでいただきたい。ゆくゆくは、製品化や全国展開ができたら嬉しい」との青写真を描く。

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