ごま・きな粉の真誠の24年12月業績は価格改定効果もあって、単体で初の売上高100億円を達成した。しかしながら原材料をはじめ輸送費や包装資材、人件費等の上昇はやむことなく、また市場においては根強い価格競争と消費者の節約志向が相まって利益圧迫要因となっている。同社・冨田博之社長が目指す「適正価格・適正利益の確保」に向けて、今期カギとなる取り組みは何か。
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――24年12月期の着地から。
冨田 原材料をはじめあらゆるコストアップが続く中で、昨年も値上げ局面が幾度かあった。売上高は、値上げ効果により前年比8%強のプラスで、真誠単体として初めて100億円の大台に乗せた。なかでも業務用とPB受託商品が売上増に寄与。PB受託に関しては、特に価格競争力のある商品ウエートが高まっている。利益面に関しては、いま申し上げた通り諸コスト増が利益を圧迫。数字でいえば引き続き厳しい年となった。
――家庭用NBでは付加価値訴求型商品の展開に力を入れている。
冨田 前期は日本アクセスさんの「24年春夏 新商品グランプリ」で「グランプリ」と「加工食品部門1位」をW受賞した「無添加ふりかける胡麻おかか味」が高伸したほか、23年秋から展開している「利久胡麻わさびごま」は高級スーパーを中心に健闘。24年秋には「胡麻香彩 花椒香るごま」を投入したが、相乗効果で既存商品の「胡麻香彩 ゆず香るごま」に再度注目が集まった。
今春は「サクサク旨ごま」の新フレーバー「おかかうめ味」を発売するとともに、既存商品の「おかかしょうゆ味」のパッケージを刷新している。
――今期(25年12月期)の重点施策を。
冨田 全社方針として
①新価値創造
②価格と利益管理
③製品ラインアップ改革
④販路の多様化
⑤受託管理強化
⑥生産性向上
⑦原価意識の浸透
⑧業務効率化
⑨SDGsへの対応
⑩食品安全・品質強化
⑪組織活性化
――を掲げている。最大のテーマはボリュームゾーン・売れ筋価格帯の引き上げをしっかり行うこと。それにはPB商品を中心とした適正な価格設定とコスト管理体制の構築、NB商品の売れ筋価格帯再構築による低価格からの脱却が必要だ。
――
そうした中で新たに価格改定を発表した。
冨田 5月1日出荷分から実施する。対象となるのは家庭用、業務用の双方で、黒ごま、金ごまを使用する商品と一部きなこ商品。今回は原料ごまの相場変動を踏まえ、黒ごまが値上げ、金ごまは値下げとなる。
われわれとしては原料高騰を理由の一つに値上げをしたのだから、原料相場が下がったらそれに応じて値下げがあっても良いと思っている。別の言い方をすれば、下げるときは下げるので、上げるときはきちんと上げてほしいということだ。
――追随はありそうか。
冨田 他のコストは上昇が続いているし、各企業の商品構成にもよるので、そこは一概には言えないし分からない。
――今期の抱負を。
冨田 冒頭お話しした通り、前期に売上高100億円を達成できた。ここは一つの目標ラインだったのでうれしいが、利益がこれだけ厳しいと手放しでは喜べない。今期は社員皆で喜びを共有できるような業績を収めたい。
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