伊藤園、お茶の常識を捨てた「お~いお茶」の新商品 海外の嗜好を取り入れて開発 大谷翔平選手を起用したCMで訴求

 伊藤園は「お~いお茶」ブランドから、“お茶の常識、捨てましょう。”をテーマに開発した新商品「お~いお茶 PURE GREEN」(以下、PURE GREEN)「お~いお茶 LEMON GREEN」(以下、LEMON GREEN)を3月17日に新発売した。

 3月12日、発表会に登壇した安田哲也マーケティング本部緑茶ブランドグループブランドマネジャーは「長年、国内のみを見ていたが、新たに海外のトレンドに着目した。これまではお茶らしさにこだわっていたが、水(ミネラルウォーター)を飲んでいるお客様にもアプローチをしたいと考え、その点でも常識を捨てた」と語る。

 ミネラルウォーター飲用層に着目したのは、若年層の獲得を目的としたため。

 日本茶市場は長年、若年層の獲得が課題となっていた。インテージSCIのデータによると、2024年1-12月の日本茶飲料の購買層は50代以上が59.6%を占めており、次世代のユーザーの獲得が必要となっていた。

 次世代のユーザーの獲得に向けて、海外の緑茶に対する嗜好を中味設計に取り入れた。

 海外では、火を入れた緑茶が持つ茶葉の香りを“青い香りは苦手”“草のような香りのものは飲みたくない”と忌避する動きが判明。この気づきから、緑茶に親しみがない海外のユーザーにも飲みやすい味わいに仕立てた。
 「海外のトレンドをベースに、止渇飲料の水を超えるようなお茶を味わっていただきたい」と力を込める。

伊藤園の安田哲也氏
伊藤園の安田哲也氏

 「PURE GREEN」は、緑茶特有の苦味や渋みのない、すっきりとした味わいが特長。色の美しさやおいしそうな印象を好むユーザーも見込み、「PURE」という名の通り透き通った水色(すいしょく)にもこだわった。

 原料は、爽やかですがすがしい香りが特徴の茶葉を「PURE GREEN」専用にブレンド。火入れを極力抑えることで若葉のような香りを引き出した。
 アクセントに粉末茶葉を加え、香りと旨味をプラスしている。低温での抽出で苦味・渋みを抑えテ、すっきりごくごくと飲めるように仕立てた。

 「お~いお茶」本体や「お~いお茶 濃い茶」とは異なる中味設計によって、これまで取り切れていなかった20-30代の競合商品支持層をターゲットにする。

 「LEMON GREEN」は、まろやかなお茶のあまみにレモンのフレーバーを掛け合わせ、無糖のフレーバー緑茶として発売する。

 茶葉の渋みはレモンと相性が悪いため、あまみが強い一番茶を使用。瀬戸内レモンのエキスとレモングラスエキスを使い、香料を使わずに爽やかなレモンの香りを実現した。

 2品とも、パッケージデザインにもこだわった。
 「若い方や海外の方の意見も取り入れさせていただき、新しい時代のお茶として確立するためシンプルにデザインした」と説明する。

 コミュニケーションは、「お~いお茶」ブランドのグローバルアンバサダーを務める大谷翔平選手をTVCMに起用して展開している。

 TVCMでは、私服姿で浜辺でリフティングをする大谷選手の姿で、常識にとらわれない新鮮な印象を打ち出している。

 TVCMは発売日とMLBの開幕戦に合わせて3月17日に放映開始。出稿量は2000GRPを予定する。

 「PURE GREEN」「LEMON GREEN」の2品計の販売目標は、発売後1年間で300万ケース。

 「『お~いお茶』ブランドから出すことでブランドの知名度を活用するが、いずれは独り立ちも考えている。『お~いお茶』ブランドから独立すれば、国産以外の素材の使用や幅広い作り方も可能となる」と述べる。

 今後も継続して新フレーバーを展開し、6月下旬には夏場に向け爽快感に着目した緑茶、9月にも新商品を予定する。

 アメリカでも9月に商品展開を予定しており、フレーバー緑茶の提案を海外にまで拡大していく。

 なお、2023年に発売した若年層向けの緑茶「お~いお茶 〇やか(まろやか)」については、「一定の評価はあったものの、『お~いお茶』と味わいやパッケージが似てしまったことで、お客様にとって違いがわかりにくかった」と振り返る。

株式会社アピ 植物性素材