3.1 C
Tokyo
2.8 C
Osaka
2025 / 12 / 27 土曜日
ログイン
English
流通・飲食小売人口減での成長戦略 さとう・佐藤総二郎社長(前編) ハイブリッドの価格政策 増収は点数伸びてこそ

人口減での成長戦略 さとう・佐藤総二郎社長(前編) ハイブリッドの価格政策 増収は点数伸びてこそ

近畿地方でスーパー85店を展開するさとうグループ(本社・京都府福知山市)。昨年、重点エリアと位置付ける大阪北部・京都南部において10店舗体制を築いた。人口集積地である同エリアに対し、地盤とする北近畿では過疎化と高齢化が進む。こうした中、先月は山間部にある兵庫県丹波市の柏原(かいばら)パーク店を新築移転した。人口や世帯数といった数字だけを見ると厳しい地域でも、「経験を生かした成功例がいくつもある」と佐藤総二郎社長は話す。インタビュー前半では、近況と価格政策について聞いた。

――2025年2月期の着地見通しを教えてください。

佐藤 1月までの業績は営業収益(売上高)が前年比104.3%。商品価格の上昇や新規2店の出店もあり、計画を上回った。15期連続の増収を予想している。

一方、人件費や物流費の上昇、原料高など、あらゆるコストが恒常的に上がり、前年に比べコストアップがさらに進行したため減益を見込む。

一品単価は増加したものの買上点数が落ち込んでおり既存店の伸び率は1.9%にとどまった。点数が増えなければ、本当の意味での増収ではないと考える。そのことが利益にも影響した。

――点数の減少はスーパー業界全体の傾向ですが、その要因をどう捉えていますか。

佐藤 資源高やエネルギー高、野菜の成長不良、さらに昨年来のコメ騒動など、様々な要因で物価高が継続している。昨年6月に実質賃金が増加に転じたものの、物価の上昇分とはまだ乖離があり、防衛意識は色濃い。足下での節約・低価格志向は依然として続いている。

買上点数の減少は、必要な商品を慎重に購入されているからだと推察される。それに合わせ、特売品やPB商品の比率が高まっている。

――そのような消費動向に対し、取り組むべきことは。

佐藤 価格の決定権は、究極的にはお客様にあると考える。価格訴求についてはこれまでと同様、週間や月間特売など期間限定の引き下げを行っている。安さが伝わりやすく、お客様にとっては計画的に買い物ができる。売る側にとっても作業負担の軽減と、品切れの防止に一定の効果がある。

ただ、デフレの時と違うのは仕入れ値がどんどん上がり不安定なので、計画を立てるのが難しい。価格訴求ではない定番品でさえ、転嫁するのが容易でない。

当社の基本コンセプトはEDLPだが、日常の安定的なリピート需要には適しているものの、プロモーション効果としては即効性に欠ける。そのため、ハイロー型を加えた「(EDLP寄りの)ハイブリッド型のプライスモデル」を推進している。

――その効果は表れていますか。

佐藤 地元の北近畿では定着しており、お客様も順応されている。ただ、周辺がハイローのスーパーばかりの地域だと最初は厳しい。これまでも大阪の都市部に出店した際は、スロースタートだった。だが、経験からすると1年ほどのゆっくりしたレンジで上昇気流に乗ることができる。

(つづく)

関連記事

インタビュー特集

米国の認証機関として、米国輸出への総合支援に自信 認証だけでなく、企業の社会的信頼を高める仕組みづくりもサポート ペリージョンソン ホールディング(PJR) 審査登録機関

ペリージョンソン ホールディング(TEL03-5774-9510)は、ISO認証、ビジネスコンサルティング、教育・研修事業を通して顧客のサステナビリティ活動の普及に尽力。

国際的情報豊富な感覚で審査を展開 細分化したフードセクターに精通した審査員多数 SGSジャパン(SGS) 審査登録機関

SGSはスイス・ジュネーブに本拠を置き、試験・検査・認証機関としては世界最大級の規模である。世界115カ国以上に2500以上の事務所と試験所を有し、各産業分野における検査や試験、公的機関により定められた規格の認証などを行っている検査・検証・試験認証のリーディングカンパニーである。

キンレイ「鍋焼うどん」、さらにおいしく進化 自社工場でかつお節を削り出した理由とは 50年のこだわり脈々と

キンレイの冷凍具付き麺「お水がいらない」シリーズが販売好調だ。2010年に立ち上げ、昨24年までに累計2億食以上を販売している。

日本酒「獺祭」輸出4割増 「海外トップブランドが強み」桜井社長

清酒「獺祭」の輸出が世界各国で伸びている。前9月期は総売上高213億円(前年比9%増)のうち、輸出実績(未納税含まず)は79億円、実に4割増だった。

日清オイリオ久野社長 価格改定の早期完遂目指す 家庭用、中長期視点で強化

日清オイリオグループの久野貴久社長は、喫緊の課題として価格改定の早期完遂と、ホームユース(家庭用油)の販売強化に取り組む方針を示した。