近畿地方でスーパー85店を展開するさとうグループ(本社・京都府福知山市)。昨年、重点エリアと位置付ける大阪北部・京都南部において10店舗体制を築いた。人口集積地である同エリアに対し、地盤とする北近畿では過疎化と高齢化が進む。こうした中、先月は山間部にある兵庫県丹波市の柏原(かいばら)パーク店を新築移転した。人口や世帯数といった数字だけを見ると厳しい地域でも、「経験を生かした成功例がいくつもある」と佐藤総二郎社長は話す。インタビュー前半では、近況と価格政策について聞いた。
――2025年2月期の着地見通しを教えてください。
佐藤 1月までの業績は営業収益(売上高)が前年比104.3%。商品価格の上昇や新規2店の出店もあり、計画を上回った。15期連続の増収を予想している。
一方、人件費や物流費の上昇、原料高など、あらゆるコストが恒常的に上がり、前年に比べコストアップがさらに進行したため減益を見込む。
一品単価は増加したものの買上点数が落ち込んでおり既存店の伸び率は1.9%にとどまった。点数が増えなければ、本当の意味での増収ではないと考える。そのことが利益にも影響した。
――点数の減少はスーパー業界全体の傾向ですが、その要因をどう捉えていますか。
佐藤 資源高やエネルギー高、野菜の成長不良、さらに昨年来のコメ騒動など、様々な要因で物価高が継続している。昨年6月に実質賃金が増加に転じたものの、物価の上昇分とはまだ乖離があり、防衛意識は色濃い。足下での節約・低価格志向は依然として続いている。
買上点数の減少は、必要な商品を慎重に購入されているからだと推察される。それに合わせ、特売品やPB商品の比率が高まっている。
――そのような消費動向に対し、取り組むべきことは。
佐藤 価格の決定権は、究極的にはお客様にあると考える。価格訴求についてはこれまでと同様、週間や月間特売など期間限定の引き下げを行っている。安さが伝わりやすく、お客様にとっては計画的に買い物ができる。売る側にとっても作業負担の軽減と、品切れの防止に一定の効果がある。
ただ、デフレの時と違うのは仕入れ値がどんどん上がり不安定なので、計画を立てるのが難しい。価格訴求ではない定番品でさえ、転嫁するのが容易でない。
当社の基本コンセプトはEDLPだが、日常の安定的なリピート需要には適しているものの、プロモーション効果としては即効性に欠ける。そのため、ハイロー型を加えた「(EDLP寄りの)ハイブリッド型のプライスモデル」を推進している。
――その効果は表れていますか。
佐藤 地元の北近畿では定着しており、お客様も順応されている。ただ、周辺がハイローのスーパーばかりの地域だと最初は厳しい。これまでも大阪の都市部に出店した際は、スロースタートだった。だが、経験からすると1年ほどのゆっくりしたレンジで上昇気流に乗ることができる。
(つづく)
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