「尾西の栄養+(プラス)」 被災地の課題解決に貢献 簡便・栄養強化のパエリア

尾西食品は、災害時に避難所の栄養問題解決にも貢献できる「尾西の栄養+(プラス) パエリア」を3月31日から発売する。国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所の監修を得て開発。3種類のビタミンやたんぱく質を強化するとともに、アレルギー物質(特定原材料等28品目)不使用でありながら、パエリアらしいおいしさも追求した。

このほど都内で発表会を開催。冒頭、市川伸介社長は「当社は非常食を主力に展開し、創業90周年を迎える。災害時に避難生活が長期化すると食事の栄養バランスが大きな課題になってくる。新商品では特に必要な栄養が手軽に摂れる商品設計を目指した。『尾西の栄養+』としてシリーズ展開していく」などと話した。

監修した同研究所の坪山(笠岡)宜代国際災害栄養研究室長(写真中央)によると、災害時には食欲減退や高血圧、肥満など食に関わる様々な問題が顕在化するという。東日本大震災の被災地を対象に実施したアンケート結果では、支援物資で食料や水が重宝した一方で、お湯も使わない調理不要の簡便食品や必要な栄養が適切に補える食品のニーズを満たせていないことが明らかとなった。また現地に届く食品は穀類などに偏り、味付けのバラエティにも欠ける。「被災地ですべての栄養バランスが整った食事の提供は難しいが、エネルギー、たんぱく質、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンCを補給できる非常食は必要。食物アレルギーへの配慮も不可欠」とした。

これら課題を解決するため開発されたのが「尾西の栄養+ パエリア」。彩り野菜を使用し、ターメリックが香るおいしさに仕上げた。アレルギー物質(特定原材料等28品目)は不使用。1食当たりたんぱく質は10・9g、ビタミン3種(ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンC)はそれぞれ1日の1/3食分を配合。調理は熱湯で15分、水で60分。

伊藤秀朗取締役商品開発部長(同右)は「長期化する避難所生活でも健康被害にならないよう栄養が摂れる災害食を目指した。健常者だけでなく、アレルギー性疾患や宗教的に食制限がある方にも配慮した」と説明。

メニューの選定は親交のあった坪山(笠岡)室長のレシピを参考においしさと栄養のバランスを追求。魚介類・畜肉類を使用せず、たんぱく質源にはえんどう豆を選択して調味料による味づくりを工夫した。湯量を140mlと通常品に比べて少なくし、パエリアらしいかための食感にこだわったこともポイント。賞味期間は5年6か月。内容量は100g(できあがり量:240g)、小売価格は460円(税別)。

3月31日発売。親会社の亀田製菓オンラインショップほか、スーパー、ホームセンタ―、自治体やBCP対策に注力する企業などに向け展開予定。

一方、坪山(笠岡)室長は日本発の災害食をベースに世界標準のISO規格を策定している取り組みも紹介。16か国が参加しており、「日本は世界でもっとも災害リスクが高い国とされるが、防災の経験やノウハウを生かし主導的な立場で世界に貢献できる」と展望した。

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