味の素AGFは、コーヒー豆の国際価格が歴史的に高騰する中、コーヒー豆を最大限活用する取り組みや一杯の価値を高める活動、茶系飲料などのノンコーヒーの強化に取り組む。
コーヒー豆を最大限活用しているものの一つとしてインスタントコーヒーが挙げられる。同社によると、一般的に、レギュラーコーヒー1杯にはコーヒー豆を10g程度使用するのに対し、インスタントコーヒーの場合、同量のコーヒー豆で2杯以上をつくることができる。
インスタントコーヒーと同様に、コーヒー豆などの素材を最大限活用するものとして挙げられるのが希釈飲料のポーションカテゴリであり、この春夏に同社は最注力する。

ポーションについて、上山智美コンシューマービジネス部ニューフィールドグループ主任は「原料高騰の影響を受けやすいレギュラーコーヒーと比べて、インスタントコーヒーやポーションはかなり効率がよく、コーヒー豆を最大限活用することができる」と語る。
ポーション市場は、家庭内でのアイス飲用増加を背景に、個食化や、気分・シーンに合わせた使い分け拡大による個包装タイプのニーズの高まりから新規ユーザーが増加。同社調べによると、宅配・通販を除く同市場は2024年4-9月金額ベースで前年同期比約25%増を記録した。
市場拡大はコロナ禍が契機となったという。
「コロナ禍の巣ごもり需要により、多く生活者がいろいろなものを飲まれるようになったときにポーションの利便性に気づかれたのだと思う」と推察する。
昨年4月からの成長は、夏場のアイス需要への対応として売場が拡大したことが後押ししたとみている。
「特に夏場はドライ商品の売上げが落ち込みやすく、アイス需要への対応を課題としていたところにポーション製品の価値が上手くはまったのだと思う」との見方を示す。
一杯分ずつ開けたての味わいが楽しめるという点で紙容器入り・ペットボトル入りコンク(濃縮)とも異なる価値を有しており、さらなる成長余地を見込む。
一杯分ずつの価値は、バラエティとの掛け算で高まる。
「色々な種類の飲み物を飲みたい生活者にとって、個包装のポーションは好適。保管スペースをあまり気にする必要がなく常温保存できるのも魅力」と力を込める。
温暖化傾向もポーション市場にとっては追い風だが、ポーションそのものの認知の拡大が課題に挙げられる。
この課題を解消しさらなる成長を図るため、同社は「ブレンディ」ポーションシリーズを大刷新。新フレーバーを加えた全7品を3月3日から発売している。

同日、東北エリアを中心としたエリア商品として、東北産りんご果汁を使用した「アップルティー」も新発売する。
商品特徴をわかりやすく伝えるため、全品のパッケージにはカテゴリ名である “ポーション”を大きく明記した。
「従来、『ブレンディ』のロゴの下に“濃縮コーヒー”や“濃縮ティー”とデザインしていたところに“ポーション”と入れ込むことでブランドとカテゴリの両方を浸透させていきたい」という。
ラインアップ全7品は以下の通り。
――「フルーツティー 3種の果物ミックス」
――「抹茶オレベース」
――「濃縮コーヒー無糖」
――「濃縮コーヒー甘さひかえめ」
――「キャラメルカフェオレベース」
――「紅茶」
――「甘熟苺オレベース」
このうち新フレーバーは「フルーツティー 3種の果物ミックス」。ペットボトル飲料でも人気のフレーバーのフルーツティーに着目し、マスカットやピーチ、オレンジの爽やかな香りとほどよい甘みが感じられるように仕立てた。
「濃縮コーヒー無糖」と「濃縮コーヒー甘さひかえめ」の2品は、製法を工夫して現行商品と比べて希釈量を増量しても楽しめるようにした。
「もともと150mlのレシピを標準レシピとしているが、これよりも多めのレシピで飲用されていることが多いことを受けて、250ml前後の多めの量で割っても満足いただけるようにコーヒーの味わいや香りを強化した」と説明する。
コミュニケーションは大幅な強化を予定しており、ポーションとは何なのかを訴求していく。
販促施策は、バンドル販売によるバラエティ訴求のほか、牛乳や炭酸水とのクロスMD、などを予定している。
「ポーションは何となく見たことがあるが、まだ買ったことがないという方にまずポーションを知っていただき、さらにどういうものなのかを理解していただけるように活動していく」と意欲をのぞかせる。
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