10 C
Tokyo
9.7 C
Osaka
2025 / 12 / 16 火曜日
ログイン
English
流通・飲食小売セブン&アイ・ホールディングス グループ経営体制を刷新 北米コンビニ事業上場へ グローバル成長を加速

セブン&アイ・ホールディングス グループ経営体制を刷新 北米コンビニ事業上場へ グローバル成長を加速

セブン&アイ・ホールディングス(HD)は3月6日、新社長兼CEOにスティーブン・ヘイズ・デイカス筆頭独立社外取締役を任命したと発表した。5月の株主総会後就任する。井坂隆一社長は特別顧問に退く。北米でセブン-イレブン事業を行う7-Eleven,Inc.(SEI)の株式公開(IPO)を目指すほか、食品スーパーマーケットなどSST事業はベインキャピタルに譲渡する方針も明らかにした。新たな経営体制のもと総合小売業から転換し、国内外CVS事業にフォーカス。「食を中心とした世界トップクラスのリテール」を目指す。

デイカス氏は、「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングや米国ウォルマート、西友CEOを経て2022年5月にセブン&アイHD社外取締役に就任。2024年4月には取締役会議長兼筆頭独立社外取締役に任命された。

同日開かれた記者会見で井坂社長は「デイカス氏は国内外での業界経験、知識が豊富。戦略委員会や特別委員会の委員長としても、その勤勉さや献身的な姿勢に頭が下がる。国内の事業構造改革に目途がついたこれからは、当社がグルーバルな成長を目指す上で最適な人材と判断した」と語った。

SEIは2026年下半期までのIPOを目指す。上場後もセブン&アイHDはSEI株式の過半数を保有する。デイカス氏は「SEIは高いブランド認知度と業界随一のデジタル戦略を有している。当社とのシナジーで北米市場最大手チェーンとして揺るぎない地位を確立できる」と力を込めた。

SST事業グループは、2025年9月を目途にベインキャピタルに8,147億円(53.7億ドル)で譲渡する。また、譲渡後の株式保有割合はベインキャピタルが60%、セブン&アイHD・創業家合計で40%となるよう再出資することで合意している。

CVS事業への集中を掲げるが、商品開発面でSST事業との協業は続く。「セブンプレミアムの販売額は80%がセブン-イレブン、20%がSST事業だが、アイテム数で言えばその逆。協業により商品開発リソースを育まなければ今後の市場の変化・複雑化に対応できない」(井坂社長)と強調した。

こうしたSEIのIPOやSST事業の譲渡で回収された資金を活用し、2030年度までに総額2兆円にもおよぶ巨額の自己株式取得を実施する方針を明らかにした。

株主還元の拡充により低迷する株価のテコ入れを狙うが、同社はカナダのコンビニ大手アリマンタション・クシュタール(ACT)から買収提案を受けている。株価上昇を通じ、買収提案に対抗する思惑もあるようだ。

「ACTの提案に対し独占禁止関連の課題を一貫して指摘しているが、対策は見いだせていない。今回のマネジメント施策は、現時点で当社の株主価値最大化に向け最適な選択と考えている」(井坂社長)としている。

関連記事

インタビュー特集

日本酒「獺祭」輸出4割増 「海外トップブランドが強み」桜井社長

清酒「獺祭」の輸出が世界各国で伸びている。前9月期は総売上高213億円(前年比9%増)のうち、輸出実績(未納税含まず)は79億円、実に4割増だった。

日清オイリオ久野社長 価格改定の早期完遂目指す 家庭用、中長期視点で強化

日清オイリオグループの久野貴久社長は、喫緊の課題として価格改定の早期完遂と、ホームユース(家庭用油)の販売強化に取り組む方針を示した。

J-オイルミルズ春山社長 次元の異なるコスト環境 油脂、価格引き上げ急ぐ

J-オイルミルズの春山裕一郎社長執行役員CEOは、油脂のコスト環境が悪化する中で、「価格改定の浸透を急ぐ」方針をあらためて強調した。

新潟・葵酒造、2年目は自社栽培米で仕込む 「Domaine Aoi」始動 「日本酒になじみがない方にも」青木代表

「飲むことで幸せを感じられるような日本酒を提供していきたい」と話すのは葵酒造(新潟県長岡市)の青木里沙代表取締役。昨年冬、JR長岡駅からほど近い場所に位置する創業160年超の旧高橋酒造から事業を引き継ぎいだ。

カゴメ次期社長 奥谷晴信氏 国内、新たな成長軸を模索 国際、M&Aも視野に成長を

カゴメの次期社長(2026年1月1日付)に内定した奥谷晴信現取締役常務執行役員(一部既報)。アジア事業カンパニーやグローバルコンシューマー事業部、国際事業本部などキャリアの多くを国際事業に携わってきたが、21年以降は国内事業でも手腕を発揮。