東日本砂糖特約店協同組合は先月、第40回東日本流通懇話会を開催。精糖工業会、日本ビート糖業協会、日本製糖協会、全国砂糖代理店会など関係者が参加した。
冒頭、西川宗行理事長があいさつに立ち、「2020年度比でガソリン代は148%、精糖価格は187.5円から250円と133%上昇した。一方、ほとんどの特約店は燃料費や水道光熱費など精糖価格以外の費用の価格転嫁はできていない。このままでは将来的に事業規模を縮小するか給与を減らさざるを得なくなる」と強調。
その上で「農林水産省は適正価格での取引を推奨する『フェアプライス プロジェクト』を展開している。われわれ特約店がこれに着手しなければ精糖価格は消費者に浸透せず、精糖業界を将来にわたり維持することが困難になる。糖価が安定している今こそ、業界を挙げてフェアプライスの実現に向け努力しよう」と力を込めた。
続いて、流通懇話会恒例の講演会を開催。菓子開発コーディネーター・三宅清氏による「糖道(ToDo)」、三井物産食料本部糖質醗酵部粗糖室長・山口健彦氏、同室長補佐・上野貴史氏による「国際砂糖相場の動向」と題した講演が行われた。
三宅氏は90年代から雑誌「パナデリア」を主宰。菓子の主要素材(小麦粉・バター・砂糖・卵)の研究を深めた。「砂糖消費の減少に対し何をなすべきかという意味で『糖道(ToDo)』とした。甘いものはエネルギー源であり、皆で食べると幸せを感じる。糖業にかかわる皆さまには、今一度甘いものの原点を探って欲しい」と語った。
山口氏は砂糖の国際需給に関し「ブラジルは砂糖の生産量・輸出量とも世界第1位で、粗糖相場に最も影響力がある。足元のレアル安(=輸出拡大)に加えて、国際砂糖相場高により砂糖の収益性が増しており、砂糖生産の拡大傾向は25/26クロップも継続する」との見方を示した。
上野氏は「直近の粗糖相場は、2024年9月に23㌣台の高値をつけてからは供給超過見通しから再びダウントレンドに。足元は20㌣台に回復しているが、今後米金利低下やブラジル財政健全化によるレアル高、インド政府によるエタノール支援の拡大・減産見通し、ブラジルの下方修正など強材料も見据え、16~22㌣のレンジを予想する」と述べた。
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