カゴメ アーモンド・ブリーズ本格展開 “コク”活かし習慣飲用を促す

カゴメは3月からアーモンドミルク「アーモンド・ブリーズ」の本格展開を開始する。昨年9月にブルーダイヤモンドグロワーズ社(米国)と製造・販売に関するライセンス契約を締結し、今年2月までは輸入品を販売してきたが、3月からパッケージと中身を日本仕様に変え、本格販売に踏み切る。

「アーモンド・ブリーズ」は、カゴメの飲料事業では初の海外ブランドだが、「ライセンス契約には、相手に企業理念や共通カルチャーがあるかどうかが大きなポイント」(西村晋介マーケティング本部飲料企画部長・4月より営業本部広域営業統括部長)と話す同社。カゴメの国内原料トマトは契約農家から買い、加工して販売。ブルーダイヤモンドグロワーズ社も契約農家からアーモンドを調達し、加工して世界に供給しており、互いに契約農家に関わっている部分でも考えが一致した。

だが日本とアメリカでは味覚や嗜好性は大きく異なる。アメリカのミルクは、日本より脂肪分が少なく、スッキリしてゴクゴク飲むタイプ。日本のスタンダードミルクは、乳脂肪分が高くコクがある。そこでアーモンドペーストの量を1・5倍に増やし、スッキリ感よりコクを重視。3月発売の「アーモンド・ブリーズ」は「これが一番の改良点となった」。

牛乳、豆乳、アーモンドミルク、オーツミルクの飲用シーンも調べた。牛乳は圧倒的に朝が多く、豆乳、オーツミルクも朝、バリエーションが豊富な豆乳も朝と間食用が多かった。アーモンミルクだけは食事やおやつ代わりに間食として飲まれているケースが多いことがわかり、同社は「朝から飲んで習慣飲用を促し、毎日飽きずに飲めるようコクのある味わいに仕上げた」。

パッケージもブランドロゴを大きく前面に打ち出した。「パッケージの変更には様々な議論があったが、日本でリスタートするなら、パッケージも最大限変えるべきだ」と判断。表面にはカゴメの社名は一切出さず、側面には産地や農園まで印刷し、パッケージにストーリー性を持たせた。

販促プロモーションでは、「まずはアーモンド・ブリーズを手にとってもらうことが最優先」とし、ブランド認知の拡大とトライアル獲得のため、3月からカリフォルニア在住のアーモンドミルクユーザーのアンバサダー2人を起用する。「2人は仕事や生活のパフォーマンスをあげるため、既に日々の生活にアーモンドミルクを取り入れ、身体をメンテナンスすることで日常をキープしている人物」と言う。更に100万人サンプリングでトライアルを獲得。店頭での情報発信やSNS発信、飲み方提案なども順次展開し、需要を喚起する。

チャネル戦略ではスーパーやコンビニ、外食、カフェ、ECなどあらゆるチャネルをフルに活用。スーパーでは朝食提案として、グラノーラやコーヒー、バナナなど他の食材とのタイアップを計画。コンビニでは200mlを中心にパーソナル需要を促進。ホテルでも朝食用として提案するほか、カフェではバリスタから「ラテが作りやすい」と高く評価しており、牛乳や豆乳に続くオプションとして訴求。牛乳の扱い多い生協でもケース売りの販売を促し、情報発信と買う場所がセットになったECも重要チャネルに位置付けている。

2023年の国内のアーモンドミルク市場は139億円、24年は競合の欠品等で124億円と一時的に落ち込んだが、米国との飲用量の差から、日本における拡大余地は大きいとされている。マーケットでは大手ブランド1社が先行しているが、「アーモンド・ブリーズでトライアルを促進し、シェア獲得よりもアーモンドミルク全体の市場を大きくし、中期的には飲料事業の一翼を担うボリュームにしたい」考えだ。

株式会社アピ 植物性素材