明治は、廃棄間近の食材を活用したクラフトビールを製造するBeer the First(神奈川県横浜市)と共同開発し、製品中に脱脂粉乳を10%利用したミルクサワー「MILK MOON」(350㎖、OP)を3月中旬から発売する。蜂蜜のほのかな甘みやミルクのまろやかさが特長で、食後のリラックスタイムに微アルコールを楽しむZ世代をコアターゲットに、新たな高付加価値商品として提案する。
今回の協業には「脱脂粉乳の有効活用」の大きな目的がある。近年牛乳の消費が落ち込むなか、長期保存可能で需給調整の役割を担うバターの生産量が増加。バターの需要は増加傾向の一方、片割れである脱脂粉乳は在庫を積み増す情勢となった。国は飼料向けや新たなヨーグルト、プロテイン飲料など多目的原料として脱脂粉乳の利用を促す対応策を講じている。
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こうしたなか明治は、クラフトアルコールに新たな可能性を見出した。
経営企画本部イノベーション事業戦略部事業開発グループの松浦枝里子氏によれば、クラフトアルコール市場は地産地消の高まりなどから伸長傾向にある。健康需要でノンアルコール市場も拡大していることから「2つの市場の可能性を探索することで社会性と経済性を両立した商品を育成できると考えた」と説明。
Beer the Firstはこれまで、災害備蓄品の乾パンとアルファ米を使ったクラフトビールなどを製造。「スポットの素材ではなく、より安定供給可能でクラフトビール以外にもアップサイクルできる素材を探すなか、定期的に在庫が出る脱脂粉乳に注目した」(坂本錦一代表取締役社長)。
両社は神奈川県が主催するベンチャー企業支援プログラム「ビジネスアクセラレーターかながわ」(BAK)を機に協業を開始。初回生産では、明治が提供した250㎏の脱脂粉乳を有効活用し9万7000本を生産した。今後はSNSやサンプリングで認知拡大を図るとともに、乳原料等の有効活用によるフードロス削減など、多様なクラフト飲料市場の開拓を目指す。
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