味の素は、2月3日開催の取締役会において代表執行役社長として中村茂雄氏(現執行役常務、ラテンアメリカ本部長)の就任を決めた。藤江太郎現代表執行役社長は執行役会長に就任した。
交代の理由として、3日開催のオンライン会見で藤江氏は、「昨年12月18日に軽い脳疾患で入院。1月20日から転院しリハビリ中で、順調に回復し来週退院予定だが、代表執行役社長の業務に空白が生じることを避けるため、指名委員会に退任を申し出た」という。
中村新社長は、「急遽、藤江よりタスキを受け継ぎ、身が引き締まる思いでいっぱいだが、グループの持続的成長に向けて全力を尽くす」とし、「ASV経営と志を受け継ぎ、私自身の強みである『高速開発システム』を型化して展開することで4つの成長領域を中心とした2030年のありたい姿を、前倒しで実現することに全身全霊で取り組む」と表明した。
入社以来、電子材料の開発に20年以上携わってきた中村氏は、電子材料開発の柱となる「高速開発システム」について触れ、「ポイントは顧客ニーズの先読み」とし「食品事業における顧客ニーズは国や世代、世帯収入などにより様々で、市場ニーズの先読みにはマーケティングが重要になる」と指摘。「私の強みは新事業の創出から海外食品事業まで、多様な経験からの問題解決能力と、明確なビジョンでチームを導き、強い情熱でメンバーの心に火をつけ、戦闘力の高いカルチャーを醸成するリーダーシップだと考えている」と言う。経営スローガンは「ちゃんとちゃんと味の素」にちなんで「ちゃんと考えてちゃんと実行する」。
中村新社長の略歴
1967年10月13日生まれ、東京工業大学総合理工学研究科化学環境工学専攻(修士)卒業後、1992年味の素社入社、2019年執行役員味の素ファインテクノ社社長、21年執行理事化成品部長、22年執行役常務ブラジル味の素社社長(現任)、25年2月代表執行役社長(現任)最高経営責任者(現任)。