ヤオコー 川野澄人社長 おいしさをさらに磨く 南北政策で顧客対応強化

今期ここまで既存店が非常に好調に推移している。客数増に加え、一品単価の上昇も寄与している。単価はもう少し落ち着くと想定していたが、米不足の影響もあり下期にかけて単価は上昇傾向にある。

客数については、昨年来取り組んできた南北政策が成果を挙げている。北エリアでは昨年、新たな旗艦店として久喜吉羽店(埼玉県久喜市)を出店した。生鮮部門の強化では、鮮魚の豊洲祭りやミニトマトの品質訴求などの取り組みが、お客様の支持につながっている。

運営面では、セルフレジやデジタルプライサーの導入、草加物流センターの改善など効率化が進んできた。昨年4月に約6%の賃上げを実施し、当社の重点部門である惣菜・生鮮では部門手当を付けるなど、人的投資も強化している。

2025年の見通しだが、長期的なトレンドとして高齢化と人口減少が続く。団塊の世代が75歳以上となり、本格的な超高齢化時代を迎える。団塊ジュニアは50代を迎え、子育てを終えて、食費にもう少しお金をかける世帯も増えてくるだろう。地域のお客様のニーズをしっかりと捉えていくことで商売のチャンスは広がる。

ヤオコーとしては、引き続き南北政策を深めていく。首都圏でも都心に近いエリアと郊外では世帯構成が異なり、ライフスタイルや嗜好も違う。ミドルシニアを中心とした北エリア、ヤングミドル・共働き世帯が多い南エリア、地域のすべてのお客様に満足いただける品揃えや提案に磨きをかけていく。

「豊かで楽しく、健康的な食生活を提案する」という方針のもと、今期は「価値に集中する」ことをテーマに掲げ、おいしさ・品揃え・提案・安さの4つの価値を強化してきた。ヤオコーの強みをさらに磨くという方針に変わりはないが、来期はあらためて「おいしさ」にこだわっていきたい。

例えば、生鮮ではカテゴリーの懸絶化に取り組み、ミニトマトの販売強化が成果を挙げている。トマトは青果の主力カテゴリーだが、定番商品に焦点を当て、皮がパリッとした鮮度の良いミニトマトを徹底的に売り込んできた。お客様にその価値が認められ、商品の回転がアップし、鮮度も売上も上がる好循環が生まれている。

鮮魚や精肉でも、素材のおいしさと商品化する技術を磨き、価値ある商品を提供する。こうした取り組みを商品ごと、カテゴリーごとに強化し、お客様の満足度アップにつなげていく。

一方で、賃上げによる人件費の上昇をはじめ光熱費やサービス価格などのコストアップが予想される。こうした環境下において、いかにトップラインを上げて、粗利を増やしていくことが当社のみならずスーパーマーケット業界全般の課題といえる。賃上げ効果も期待されるが、消費の二極化はさらに進む。運営面では女性の活躍、だれもが働きやすい職場づくりにも注力する。

ヤオコーの新店は今期同様に7~8店舗を計画、既存店の改装も強化する。昨年の久喜吉羽店に続き、今年は南エリアでも新たな旗艦店を作りたい。エイヴイは昨年秋に平塚店を出店した。エイヴイは1店舗平均50億円の売上があるが、センターの供給キャパシティとの兼ね合いで出店数が決まる。フーコットは店舗売上をさらに高めていく段階にある。引き続きDS業態の強化も進める。

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