カカオショックによる原材料高騰、アイスやスイーツなどへの他カテゴリへの流出、地球温暖化による消費減退など逆風下にあるチョコレート市場で、ロッテは上期(4-9月)好調に推移、下期に向けても勝算を見出す。
11月18日取材に応じたロッテの中村準マーケティング本部第一ブランド戦略部チョコレート企画課課長は下期について「チョコレート全体が需要期に入るため会社全体としてもチョコレートにかけるウェイトが大きくなる。やはり一大消費トレンドであるバレンタインに向けて『ガーナ』ブランドを中心にしっかり強化していいきたい」と語る。
カカオショック対策ついては「世界的にはカカオ原料を少し減らしてクッキーと組み合わせている商品があり、そのようなことを研究しながらブランド価値を落とさず、さらに高めていける方法を今後検討していきたい」との考えを明らかにする。
チョコレートユーザーの他カテゴリへの流出への対策としては、逆に他カテゴリへ打って出る。
「チョコレート市場はここ数年踊り場にあり、チョコを使ったアイス・ビスケット・スイーツにユーザーが流れてしまい、これらとの対立関係が強烈になっている。今まで取られるほうが強かったが、我々としては取り返していくことが凄く大事で、ブランドエクイティ(資産)を上手く使いながら領域を広げていく」と説明する。
その好例が「ガーナ」での展開。「ガーナ」では4月にコメダ珈琲店とコラボし「ガーナミルク」をコンセプトにしたコメダ珈琲店のスイーツ・ドリンクが季節限定で発売された。
11月には、セブン‐イレブン・ジャパン(SEJ)とも協働して、「ガーナ ショコラカヌレ」「ガーナ ショコラボウル」がSEJから発売開始された。
「カテゴリを俯瞰して、様々なお取組みで『ガーナ』に親しんでもらい顧客接点をつくっていくことが大事だと考えている」と述べる。
地球温暖化については、需要期への入りが後ろ倒しになっていることに着目する。
「『ラミー』『バッカス』の洋酒チョコレートの発売開始時期は昔、9月だったのが、今は10月の2週目に発売している。温暖化で品質に関するお客様のお問合せが多くなってきたことから発売時期を少し遅らせた。ただし今年は10月中旬も暑かったことから、今後もそのようなことが起こる可能性はゼロではない」との見方を示す。
猛暑・夏場の需要喚起策としては、今年、「ガーナ」史上初となる初摘みミントを使用した「ガーナミントチョコレート」を新発売して、おいしさと冷涼感を打ち出した。
「暑くなっても需要されやすいフレーバーや商品開発を今後行っていく必要がある。例えば食感がある焼き菓子系や『パイの実』や『コアラのマーチ』といった商品を今後より強化していく」と力を込める。
原材料価格は高止まりにあり、値上げ基調の中での需要喚起も課題となる。
ロッテは11月1日出荷分から、チョコレートを中心に菓子70品を価格改定した。70品の同社出荷価格の改定率は3.7~38.4%。
「11月1日の価格改定後のデータはしっかり出ていないが、さほど回転は落ちずに、板チョコレートの売上が上がったりして、この段階(11月18日)においては、まだ価格が上がり切っていないというのもあるが、大きなマイナスの影響を受けてないと思う」と語る。
カカオ豆が一層高騰する可能性もある中、価格が高くても選ばれるブランドにしていく活動に取り組む。
「上期は単価が上昇したものの、お客様の流出率はそれほど大きくなかった。ただこのまま価格を上げ続けていいわけがなく、臨界点を超える可能性がある。付加価値をつけるのが上手くいけば市場としては大丈夫かと思うが、市場としては逆風が多いので苦しくなっていくシナリオも想定できる。本当に今年が潮目だと考えている」と気を引き締める。