16.8 C
Tokyo
13.9 C
Osaka
2025 / 11 / 17 月曜日
English
飲料系酒類月桂冠 海外は日本産・米国産の両輪で開拓 輸出専用の王道感ある新シリーズ投入
2025台湾食品調達商談会 in Osaka by 台湾貿易センター

月桂冠 海外は日本産・米国産の両輪で開拓 輸出専用の王道感ある新シリーズ投入

清酒大手メーカーの月桂冠は、日本からの輸出と米国月桂冠における現地生産の両輪で、酒類事業をグローバルに展開している。早くから進出したアメリカ、韓国をはじめ、世界各国で清酒「月桂冠(GEKKEIKAN)」の認知度は高い。

2024年秋、輸出専用で「純米酒」の新商品を発売。スタイリッシュなブルーのボトルに、ラベルには王道感ある「月桂冠」のロゴを大きくあしらった。米由来の甘さが感じられるすっきりとした酒質に仕上げており、今後は「純米吟醸」「純米大吟醸」などをシリーズ展開する方針。同社貿易部は「和食に限らず幅広い料理とのペアリングを提案していく」。

レギュラー酒+プレミアムライン

特別純米酒「HAIKU」
特別純米酒「HAIKU」

米国月桂冠(カリフォルニア州)は1989年設立。当時、海外で日本文化や和食への関心が高まり、日本料理店が増えつつあったという。現在はアメリカ国内のみならず、太平洋を越えて韓国にも相当量を出荷する。

現地製造の主力商品は純米酒の「Traditional」。日本で親しまれてきた味わいやラベルを踏襲し、和食店からリカーストアまで幅広く展開する。近年はプレミアムラインの特別純米酒「HAIKU」に注力。22年10月にリニューアルし、生詰によってフレッシュかつジューシーな酒質に仕上げた。

「Black&Gold」も人気。黒いボトルが印象的だが、中身の高品質なブレンド酒も好評。今年開催の「全国燗酒コンテスト2024」において、日本国外からの出品酒で唯一の最高金賞を受賞した。

日本からは主に高級酒やスパークリング、にごり酒などを輸出する。なかでもフラッグシップに位置付ける「鳳麟 純米大吟醸」の訴求を強化。「当社は海外でレギュラー酒を主力にしているが、本来は付加価値の高い日本酒にも強みを持つ。今後は『鳳麟』に特化したプロモーションも検討していく」(貿易部)。

韓国市場のパイオニアに

一方、海外40か国以上に展開する中で、韓国における存在感の大きさは特筆される。

きっかけは1990年代に日本文化が解禁されて以降、いち早く進出したことだ。現地企業との合弁会社(現在は解消)で輸入販売事業とレストラン事業を立ち上げ、当時まだ少なかった日本式居酒屋などを次々に出店、市場のパイオニアとなった。現在は飲食店やスーパーを中心に、米国月桂冠から輸出する「Traditional」、日本から出荷する韓国専用の「純米大吟醸」などが広く取り扱われている。

24年秋、輸出専用で「純米酒」の新商品を発売した。「月桂冠」のロゴを中心にあしらったラベルデザインと、多様な料理にあわせやすい酒質が特長。今後、「純米吟醸」「純米大吟醸」などをシリーズ展開する方針。同社は「海外で清酒の市場を拡大するには和食以外のシーンに浸透させることが必要。各国のディストリビューターとも連携し新しいルートを開拓していきたい」(貿易部)と展望する。

24年4~11月の清酒輸出実績は前年並み。国・地域別に見ると、中国向けは苦戦したものの、アメリカ、韓国、欧州などは伸びた。上位国は、数量ベースで1位台湾、2位韓国、3位アメリカ、金額ベースで1位アメリカ、2位韓国、3位台湾。

関連記事

インタビュー特集

カゴメ次期社長 奥谷晴信氏 国内、新たな成長軸を模索 国際、M&Aも視野に成長を

カゴメの次期社長(2026年1月1日付)に内定した奥谷晴信現取締役常務執行役員(一部既報)。アジア事業カンパニーやグローバルコンシューマー事業部、国際事業本部などキャリアの多くを国際事業に携わってきたが、21年以降は国内事業でも手腕を発揮。

ウーケ 花畑佳史社長 パックごはん、第4工場が来春本格稼働 国内外に新規拡大増やす

利便性と品質向上により、年々市場を拡大するパックごはん。最近はコメ価格高騰の影響や防災食への利用増加が相まって、需要はさらに伸びている。

明星食品 新提案「麺の明星 主食麺宣言!」 4つの軸の袋麺アレンジで食事性アップ

明星食品は、こだわりの麺技術で開発した商品ラインアップを全面に押し出し、新たに「麺の明星 主食麺宣言!」と銘打ったプロモーションを大々的に展開している。

イチビキ 中村拓也社長 豆みそ・たまりNo.1の矜持を 人口減睨み業務用・海外強化

安永元年(1772年)創業の醸造・食品メーカー、イチビキ。今年6月20日付で同社社長に就いた中村拓也氏は、98年入社。

「大豆ミート」対談 マルコメ・日本製鋼所 次世代型食品へ課題と提言

健康志向が高まり、プラントベースフード(PBF)にも関心が集まる中、2023年9月に大豆ミートメーカー5社が発起人となり、「日本大豆ミート協会」が設立された。

〈持続可能性追求するアイルランドの食料生産〉シーフード編①大西洋の自然が育む恵み 海洋資源の保護に重点

〈持続可能性追求するアイルランドの食料生産〉シーフード編①大西洋の自然が育む恵み 海洋資源の保護に重点