アイルランド政府食糧庁(ボード・ビア)は11月26日、業界関係者向けの年末セミナーとレセプションを都内で開催。日本市場の変化するニーズに応える、アイルランド産食材の高品質で持続可能な取り組みに焦点を当てたプレゼンテーションが行われた。
ボード・ビア東京のマーケット・スペシャリスト、バリフ香蓮氏はアイルランドから日本への食肉輸出量が昨年比25%増加した要因として、ヨーロッパの西端に位置するアイルランドの優れた気候条件が育んだ高品質の牛の評価と、安定した供給が、市場での優位な点になったと評価。アジアで初めて発足した「シェフズ・アイリッシュ・ビーフ・クラブ」や、日本初の輸入となったアイリッシュ・ビーフの稀少原種「デクスター」などを紹介。
「これらの新たな取り組みを実現するにあたり、関係者の皆様から多くの サポートをいただいた。アイルランド産のヨーロピアン・ビーフ&ラムの可能性を日本市場でさらに広げることができたことに感謝申し上げる」と謝意を示したうえで、アイルランド産ビーフの特徴である優れた味わいや、オリジン・グリーンプログラムといった他に類を見ない、持続可能な生産体制や安定供給の成果であることを強調した。
続いて食と農の分野でコンサルティング事業などを手掛けるメロスの小倉千紗氏が「グリーン・サプライチェーン」について講演。2027年から日本で適用される温室効果ガス(GHG)排出量に関する新しい政策について詳しく説明し、特にスコープ3排出量の計算方法や、企業が取り組むべき削減目標の設定、そして具体的な対策の策定の重要性を訴えた。
欧州やアイルランドの成功事例を取り上げ、日本の食肉業界がこれらの事例から学べる具体的な方法についても提案。業界全体の意識改革と、環境負荷の低減に向けた実践的なステップが示された。
セミナーの最後には、ラ・ビスボッチャの総料理長・井上裕基氏が登壇。同店で提供するアイルランド産のヨーロピアン・ビーフ&ラムの魅力を、料理を通じて日本の消費者にどのように伝えているかを説明。6月に訪問したアイルランドで牧場や工場視察から得た実体験をもとに、自然放牧がアイルランドのジューシーで深い味わいが特徴の肉と、いかに密接に関係しているかについても紹介した。
「このキャンペーンは、伝統と革新のバランスを取りながら、アイルランド産ビーフ&ラム肉が高品質であるだけでなく、自然と調和して生産されていることを称えるもの。このビジョンを日本のパートナーと共有できることを誇りに思う。オリジン・グリーンプログラムを通じて、アイルランドは環境に配慮した解決策を提供するユニークな立場にあります。アイルランド産のヨーロピアン・ビーフ&ラムは世界的に評価される味と品質を損なうことなく提供している」(ボード・ビア東京 EUマーケット・エグゼクティブ エミリー・マホン氏)。
レセプションでは、来場者にアイルランド産のヨーロピアン・ビーフ&ラムを使用した多彩なアイルランド伝統料理を提供。人気が高まる牧草飼育のヘレフォード種とデクスター種の牛肉を使った料理などを参加者は楽しんだ。
ボード・ビア主催のレストランフェアも開催中。ヨーロッパ産ワインやアイルランド産ウイスキーと料理のペアリング、アイルランドの持続可能な農業と料理のマリアージュを楽しめる。