U.S.M.H いなげやと経営統合 3月から新体制 8年以内に1兆2千億円へ

ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(U.S.M.H)は11月30日、いなげやとの経営統合を果たし、首都圏最大規模のSM企業となった。

同日時点の店舗数は661店で、25年度以降の店舗売上高は9200億円を超えるものと見られる。藤田元宏U.S.M.H社長は29日の会見で「首都圏で十分なプレゼンスを発揮するには売上高1兆2000億円、市場シェア10%は必要。到達までに5年から7、8年はかかるだろうが、その水準を目指す」と述べた。2025年3月から、次期中計に基づく新体制での事業運営をスタートする。

U.S.M.Hは、事業会社3社(マルエツ・カスミ・マックスバリュ関東)の持株会社として15年に設立。共通商品の仕入や開発、デジタル化を進めてきたが「ここ数年それらの効果が一巡した。インフレシフトなど競争環境の変化に対応した抜本的な改革が求められる」(藤田社長)。

藤田元宏社長(U.S.M.H) - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
藤田元宏社長(U.S.M.H)

いなげやとは23年4月に経営統合の基本合意を交わし、経営理念や各種システムの現状共有、新体制への移行の検討を進めてきた。

藤田社長は「最大の課題は、競争に勝ち抜ける企業体制へと転換すること。商品仕入やデータ活用、インフラ整備など、規模の優位性を追求して市場シェアの拡大を図る」とし、新体制の主な課題を3つ挙げた。

1つ目は「スケールメリットの強化」で、事業会社ごとの仕入部門をU.S.M.Hとして統合し、加工食品・日配など売上構成比40%を超えるカテゴリを一括で仕入調達する体制に移行する。3か年で30~50億円の改善を目指す。

本杉吉員社長(いなげや) - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
本杉吉員社長(いなげや)

2つ目の課題は「コストの適正化」。バックオフィス部門をU.S.M.Hに集約し、共通の業務を一括で処理してコストパフォーマンスを高める。対象は人事、総務、経理、ITなど。500人を営業の前線に投入し、3年で40億円ほどの収益強化を図る。

3つ目は「業務品質の向上」。IT、ロジスティクス、店舗開発などの業務を統合し、アップデートや情報共有を迅速化、情報量を生かしたマーケティング機能の充実を図る。3か年の改善効果は10~20億円を見込む。新生U.S.M.Hの機能として、ECや宅配、ネットスーパーなど事業会社の枠を超えたラストワンマイルチャネルとして基盤構築することにも言及した。

次期中期経営計画(25~27年度)は23年12月から検討を進めており、25年1月末をめどに策定し、3月から新体制を始動する見通しだ。

会見の締めくくりに、いなげやの本杉吉員社長は「124年に及ぶいなげやの歴史を大切にしながら、ホールディングスで最もお客様に支持される会社を目指したい」と意気込みを語った。