サミット、高い目標へのチャレンジを継続 来店客との絆を基盤に営業総利益率改善に挑む

 サミットは今期(3月)、高い社内目標を掲げ、その達成のために各部門がチャレンジしている。

 11月6日、決算説明会に臨んだ服部哲也社長は「(達成できそうな)予算を組むと、どうしても前年の延長線上や今までやってきたことを続けるやり方になる。そうではなく、高い目標を掲げ、現状否定のような今までのやり方を否定することをやらないといけない」との考えを明らかにする。

 この考えのもと、多くの部門が新たな取り組みに挑戦。発注や仕入れ方法などの見直しに着手した。

 上期は、精肉部門が想定を上回る相場高騰に直面するなど人知が及ばない事態にいくつか見舞われたことから、増加する人件費を営業総利益率がカバーできず減益となった。だが下期に入ると、軌道に乗った部門がいくつか出始めてきたことから公表の年間計画を据え置いた。

 「今の軌道に乗っている状況を考えると下方修正はやりたくない。どこまで取り戻せるかに今、チャレンジしている」と力を込める。

 売上高は、既存店売上高・客数・客単価が増加したことで増収。上期では過去最高の売上高を記録した。

服部哲也社長 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
服部哲也社長

 服部社長は、営業総利益率の改善を課題としつつ、既存店の好調に手応えを得る。

 「出店数が少ない中で、ほぼほぼ既存店だけで増収を続けてられていることから、それほど悲観的な事態ではない」との見方を示す。

 増収要因には、販売施策とかねてから取り組んでいる来店客との関係構築を挙げる。

 販売施策については「電子マネー機能付サミットカードのチャージキャンペーンなど定期的に実施した。これまでポイントアップセールに頼っていたところを少し変えて、月間の中でいろいろとお買い得商品を設定したことが成果に結びついた」と振り返る。

 来店客との関係構築の原動力は、子どもや力士のレジ打ち体験など各店舗の現場から自発的に企画・事例を生み出したボトムアップ経営にある。

 「各個店で、自ら発想して創意工夫に取り組んでいる。ブロックマネージャーや店舗運営部長らに対しては、これらの取り組みを “水平展開しようと言うな”と命じ、共有に留めている。これにより、個店ごとのお客様との関係づくりで、働いている人の気持ちがしっかり乗った取り組みになっている」と胸を張る。

 店舗数は上期、東京都で1店舗、埼玉県で1店舗増加し合計で138店舗。現在、ほぼ全店舗で、来店客との関係構築の要諦が浸透しているという。

 「“そんなことで本当に集客につながるのか”と恐らく全員思っていたのが、今やほぼ全員が、そういうこと(来店客との関係構築)をしっかりやることが、客数の維持ないしは客数増につながるという感覚を持ち、成果を受けて自信を深めている気がする」と語る。

 来店客との深い関係づくりは「生きる糧を分かち合うお店」の使命に基づく。PBもこの使命に即して拡充している。

 「もう1つの“生きる糧”は、なるべく添加物を使わず体にやさしく、素材そのままの味わいで本当においしい商品」と説明する。

 現在、PBは約200品展開し売上規模は月3億円に上る。

 消費環境については、7月から9月にかけて、コメ不足や記録的な猛暑が逆風となったものの10月以降改善していると指摘する。

 「10月から11月現在の数字を見ると、すごく波があった7-9月から、もとの形に戻ってきており、消費環境が悪くなるとはみておらず悲観していない」とみている。

 年末商戦に向けては、楽観視せず気を引き締める。

 「クリスマスも年末も曜日まわりが非常に良くない。年末商戦に入るまでに、どれだけ数字をつくられるかが勝負の分かれ目。スーパーは販促を含めて2、3か月先のことに現在取り組んでおり、足元の数字が変わっても、それに対するスピード感が出ていない。荒利の進捗を週ごとに精緻にみていることも導入して、臨機応変に手を打つこともやり始めている」と述べる。

 なお、上期業績は、売上高が4.8%増の1717億円、営業利益が20.6%減の25億円、経常利益が27.1%減の23億円、中間(当期)純利益が30.4%減の15億円となった。