伊藤忠食品の岡本均社長は増収増益となった上期決算について、「値上げや猛暑による追い風もあったが、コストアップなどの課題に早期に対応し、アグレッシブな営業活動を展開してきた結果」と手応えを示した。
同社の上期決算は、売上高3523億円(前期比4%増)、営業利益49億円(15・2%増)、経常利益70億円(39・2%増)、当期利益51億円(46%増)。経常利益は一過性の持分法投資利益による増加があるものの、売上総利益の拡大と物流改善などの取り組みにより販管費を前年並みに抑え、二ケタ増益を達成した。
営業活動では、デジタルサイネージの設置台数が10月で1万台を突破。広告やレシピ、特売情報、キャンペーン案内など多様なコンテンツと売場を連動させた販促提案により「店舗への来店動機や商品の購買意欲の喚起につながっている」(魚住直之取締役営業統括部門長)。
岡本社長は「従前から申し上げているように、消費者起点で小売業の皆さまに寄り添い、同時にメーカー商品の魅力を伝えていく営業活動が身に付いてきた。サイネージが直接的に業績を押し上げているわけではないが、私どものお客様への提案が好循環を生み、新たな商売につながっている」と評価した。
そのほか、商品開発では凍眠フルーツや凍結生酒のラインアップ拡充、ブランド監修商品やアソートギフトなど、多様化する消費者ニーズを捉えた付加価値商品が好調。物流面では、卸とメーカー相互のインフラ活用や、配送効率と庫内生産性改善の取り組みも成果を挙げた。
下期に向けては、さらなる節約志向の高まり、低価格のPB商品と付加価値品の二極化、食習慣の意識変化に伴う酒類需要の減退、物流費の上昇など課題は山積しているが、「引き続き低重心経営を徹底し目標達成を目指す」と6期連続の増益に向けて意欲を示した。