10.5 C
Tokyo
10.9 C
Osaka
2025 / 12 / 30 火曜日
ログイン
English
飲料系飲料2030年トラックドライバー23%減少 サントリー推計 持続可能な物流へ放つ3本の矢

2030年トラックドライバー23%減少 サントリー推計 持続可能な物流へ放つ3本の矢

 サントリー推計で物流業界全体のトラックドライバーは2030年、22年比で23%減少する――。

 トラック輸送量が多い飲料業界の中で業界トップクラスのサントリー食品インターナショナルは、ドライバー不足を重大な経営課題と捉えて3本の矢を放ち、持続可能な物流に向けた取り組みを推進している。

 取り組みの1つにドライバーを待たせない先進事例がある。

 大和ハウス工業との協働で飲料に最適な仕様に設計され、2021年11月に稼働開始した浦和美園配送センター(サントリーロジスティクス埼玉支店)では入出庫の受付を自動化している。

浦和美園配送センター外観 建屋の3~5階に入居
浦和美園配送センター外観 建屋の3~5階に入居

 同センターは、2万1000パレット(115万ケース)の保管能力を持つ巨大配送センター。トラックが駐車して貨物の荷積みや積み下ろしをする場所(バース)を39台分備え、年間2500万ケースの入庫・出庫に対応している。

 この通常の3倍規模となるバース数と入出庫の受付の自動化により、一般的な配送センターと比べトータルで約1時間早くドライバーの退場が可能となる。

 ここではバースの事前予約システムは不要となっている。 10月18日、同センターで発表したサントリーロジスティクス埼玉支店の小島達也リーダーは「受付で5分から10分短縮し、さらにバースを指定する呼び出し時間を大幅に削減している」と胸を張る。

自動化された入出庫の受付
自動化された入出庫の受付

 一般的な配送センターでは、受付で入場時間や氏名・電話番号を手書きで記入しオペレーターからの電話連絡を待つのに対し、浦和美園配送センターではタッチパネルで記入すると伝票が自動的に出力され、オペレーターからドライバーの携帯に直接SMSが送られバースが指定される。

 入庫・出庫でもドライバーの待機時間削減のための工夫が施されている。

 出庫では、仮置きスペースを広くとることで、バースに積み込む商品を事前に荷集め・荷揃えする。これによりトラックが到着次第の積み込みを実現。床は、仮置きスペースからそのまま積み込めるように低床仕様となっている。

荷積みするフォークリフト
荷積みするフォークリフト

 浦和美園配送センターは建屋の3階から5階に入居。この中で3階は大型ペットボトル商品を扱う。取材時は、フォークリフトによってトラック(13トン)に大型ペットボトル18パレット分(1パレット30ケース)がスムーズに積載される。

 各フロアとも敷地の半分は仮置きスペースで占められている。3階の仮置きスペースにはAGF(Automated Guided Forklift)と称する自動運転の無人フォークリストが4台稼働し、仮置きスペースからバースへと商品を移動している。

 3階の仮置きスペースについては「無人フォークリフトが時速3.6キロと非常に遅いスピードで動いているため当日出荷には間に合わず、翌日や翌々日の出荷のために稼働している」と説明する。

無人スペースで稼働するAGF
無人スペースで稼働するAGF

 ドライバーを待たせない取り組みとして、今後は、浦和美園配送センターの先進事例の横展開を視野に入れる。

 残りの2本矢としては、製造・物流拠点増加による輸送距離の短縮化と積載効率を考慮したパッケージの設計を挙げる。

サントリーロジスティクス埼玉支店の小島達也リーダー
サントリーロジスティクス埼玉支店の小島達也リーダー

関連記事

インタビュー特集

小川珈琲、バリスタ育成とコーヒー産地での活動に先駆的に取り組みブランド力向上 基盤強固に新事業を展開 宇田吉範社長CEOが意欲

9月1日から現職の宇田吉範代表取締役社長/CEOは、バリスタとコーヒー産地での活動に先駆的に取り組み、小川珈琲のブランド力を引き上げた立役者。

米国の認証機関として、米国輸出への総合支援に自信 認証だけでなく、企業の社会的信頼を高める仕組みづくりもサポート ペリージョンソン ホールディング(PJR) 審査登録機関

ペリージョンソン ホールディング(TEL03-5774-9510)は、ISO認証、ビジネスコンサルティング、教育・研修事業を通して顧客のサステナビリティ活動の普及に尽力。

国際的情報豊富な感覚で審査を展開 細分化したフードセクターに精通した審査員多数 SGSジャパン(SGS) 審査登録機関

SGSはスイス・ジュネーブに本拠を置き、試験・検査・認証機関としては世界最大級の規模である。世界115カ国以上に2500以上の事務所と試験所を有し、各産業分野における検査や試験、公的機関により定められた規格の認証などを行っている検査・検証・試験認証のリーディングカンパニーである。

キンレイ「鍋焼うどん」、さらにおいしく進化 自社工場でかつお節を削り出した理由とは 50年のこだわり脈々と

キンレイの冷凍具付き麺「お水がいらない」シリーズが販売好調だ。2010年に立ち上げ、昨24年までに累計2億食以上を販売している。

日本酒「獺祭」輸出4割増 「海外トップブランドが強み」桜井社長

清酒「獺祭」の輸出が世界各国で伸びている。前9月期は総売上高213億円(前年比9%増)のうち、輸出実績(未納税含まず)は79億円、実に4割増だった。