手作業の価値

お気に入りのキムチが売場から消えて数か月が経つ。空いた売場はすぐさま他の商品でカバーされたが、指名買いしていた商品の代替は容易ではない。

▼わが家ご用達のキムチは、大きめにカットした白菜に調味液を1枚1枚塗り込んだポギキムチと呼ばれる商品。それまで気づかなかったが、売場に並ぶキムチの多くは、きざみやバラ付けが主流。スーパーの担当者によると、手間のかかるポギキムチはアイテム数が限られ、量販向けに製造できる工場は多くないという。

▼先日、北海道の缶詰工場を訪問し、最盛期を迎えたイワシ缶詰の生産現場と、ロングセラー商品の蒲焼缶詰製造ラインを見学することができた。従業員の多くは地元のパート社員で、地域に親しまれた工場。おなじみの蒲焼缶詰は、ふっくらと焼き上げた蒲焼を手詰めで仕上げていることに驚かされた。

▼社会課題である人手不足解消に向けて、業界では官民連携によるロボット開発の取り組みが進められている。機械化・省力化はもちろん大事だが、手作業だからできる商品の価値もしっかりと伝えていきたい。