新生ウェルネオシュガー始動 砂糖基盤強化へシナジー加速 フードサイエンスで成長牽引

精製糖大手のウェルネオシュガーは10月1日、傘下の伊藤忠製糖、日新製糖を吸収合併し新生ウェルネオシュガーとして新たな経営体制をスタートさせた。国内砂糖消費が漸減傾向にある中、砂糖事業の一層の基盤強化・効率化を図るとともに、機能性素材・食品添加物など「非砂糖事業」への取り組みを積極化。将来に向けた成長ドライバーとする方針を掲げている。

ウェルネオシュガーグループは、2023年1月1日に伊藤忠製糖と日新製糖が経営統合し持株会社体制に移行した。今回の三社経営統合により、「Sugar」と「Food&Wellness」両軸で統合シナジー創出に向けた動きを加速させる。また、2025年10月には九州に強固な地盤を有する100%子会社の第一糖業(宮崎県日向市)も吸収合併。グループ一体経営をさらに深化し中期経営計画の達成を狙う。

仲野真司会長 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
仲野真司会長

本年5月に公表した中期経営計画「WELLNEO VISION2027」(2024~2027年度)では、最終年度の営業利益目標を101億円(2024年度計画比+30億円)、当期利益目標を70億円(同+20億円)とした。基幹となるSugar事業の基盤を強化し、調達・生産・物流・営業の効率化で約15億円の統合シナジーを創出する。

一方、成長分野のFood&Wellness事業への戦略的投資を拡大し、機能性素材や食品添加物などフードサイエンス事業を軸に収益の柱づくりを目指す。特に、口腔フローラ素材として注目される「サイクロデキストラン(CI)」は2025年度中にも本生産を開始。食品・菓子のほか歯磨き粉・洗口剤などの口腔ケア市場、ペットフード市場に向け国内外での展開拡大が期待される。

山本貢司社長 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
山本貢司社長

精糖業界を巡る経営環境は依然として厳しい。コロナ禍で約12万tが消失した国内砂糖消費は、人流・インバウンドが復活した今も停滞を続けている。砂糖事業の右肩上がりの成長が期待できない中、今後も工場の統廃合、生産共同化など事業基盤強化の動きは避けられない見通しだ。また、各社の研究開発力を生かして非砂糖事業を収益の柱に育て上げ、砂糖事業との両輪で持続的成長を図ることが求められる。

食品新聞社の取材に対し、新生ウェルネオシュガーを率いる仲野真司会長は「One Wellneo、私たちウェルネオシュガーは、精製糖業界の一翼を担う、自立した、新しい一つの企業として生まれ変わりました。役職員一同、ステークホルダーの皆さまのご期待に添うべく、気持ちも新たに邁進してまいります」と意気込みを語った。

また、山本貢司社長は「精糖業界はかつて経験したことがない規模の合従連衡が進展する中、その潮流の一部を担うわれわれは10月1日に新生ウェルネオシュガーとして一体感を持って再スタートします」と述べ、新体制の“一体感”を強調した。

精糖業界における再編・合理化の動き - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
精糖業界における再編・合理化の動き