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UCCが自社農園のハワイコナ100%コーヒーを数量限定発売する理由

 UCC上島珈琲は9月18日、自社農園産のハワイコナ100%のコーヒーを国内の公式オンラインストアで数量限定発売した。

 国内の公式オンラインストアでの同コーヒーの販売は今回が初めて。

 商品の販売を通じて、UCCが実施しているサステナビリティ活動を知らしめるのが目的。

 9月18日、「UCCハワイコナコーヒー直営農園」メディアブリーフィングに登壇したUCCジャパンの小坂朋代サステナビリティ経営推進本部EC推進室課長は「このコーヒーを機に、当社のサステナビリティ活動を知っていただき、地球や人権に配慮したコーヒーを選ぶきっかけにしていただきたい」と語る。

 同社はこれまで、自社農園産ハワイコナコーヒーを、ハワイ現地のオンラインストアやハワイの店舗で販売。日本国内では「UCCカフェメルカード」でのみ販売していた。

UCCジャパンの小坂朋代氏
UCCジャパンの小坂朋代氏

 その理由について、小坂課長は「年間の収穫量は約4.5tと、コーヒー農園としては小規模な部類。そのため、現地や国内の一部の需要をまかなうだけで使い切ってしまう、という状態だった」と説明する。

 ハワイの自社農園では栽培における実験的な取り組みを行い、そこで得た知見を他のコーヒー生産地でも活用している。
 今回、日本の生活者にこの活動を伝えていくため、現地法人(UCC Hawaii)と掛け合い、「コーヒー豆を分けていただくことができた」という。

 実験的な取り組みとは、生産量向上に向けた取り組み、気候変動対策、循環型農園に向けた取り組みの主に3つ。

 生産性向上に向けては、地表から30センチを残しコーヒーの木を切るカットバックなどを実施。
 コーヒーノキは、一度開花したところが再び開花することはなく、そのまま長年栽培していると花の数は減少の一途を辿る。これを避けるため、カットバックして新しい枝を生やしていく。
 ハワイならではの生産性向上の取り組みとしては、火山活動による溶岩を取り除く土壌改良を実施した上でコーヒーの苗木を植え付けている。

 気候変動対策では、コーヒーノキを直射日光に当てないようにシェードツリーの栽培や、病虫害に耐性のある木を育成するための接ぎ木などを行っている。

 循環型農園に向けた取り組みとしては、コーヒーチェリーの果肉除去の際に発生するチェリースキンやカットバッグで切り落とされた枝を有機肥料にし、コーヒー栽培に利用している。

UCC上島珈琲の中平尚己氏
UCC上島珈琲の中平尚己氏

 UCC上島珈琲の中平尚己農事調査室室長は「自社農園で得た知見は、アフリカを中心に他のコーヒー農園で活かしている」と述べる。

 一例を挙げると、タンザニアでは自社農園の気候変動への対応を水平展開している。

 「タンザニアでは平均気温が年々上昇し、シェードツリーの無かった畑では、コーヒーの木が枯れてしまうことがあった。そこでシェードツリーを活用する農法を共有することで、再びコーヒーの生産を可能にし、サプライチェーンを強化した」と語る。

 地域によっては、生産性の向上や地球環境保護の情報へのアクセスが難しかったり、知っていても実現する資金が無かったりするコーヒー農園も多い。UCCグループが、これまでの研究結果を示しながら、コーヒー生産と地球環境の保護で協力している。

 今後も、自社農園では実験的な活動を行い、自社農園で得られた知見を水平展開していく。

 今回発売される「UCC直営農園 ハワイコナ アナエロビコ(豆)100g」は、ハワイコナコーヒーが100%使用されている点が特長。日本で売られているハワイコナコーヒーは、他の豆とブレンドされているものも多いという。

 中平室長は「ワインなどの醸造で使われるアナエロビコ(嫌気性発酵)の手法を用いており、シナモンのようなスパイスの香りがありつつ、ハワイコナの尖った酸味を柔らかくしている」と説明する。

 同コーヒーは、「UCC Hawaii」のロゴがデザインされたジュートバッグとセットで販売されている。

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