8.2 C
Tokyo
6.2 C
Osaka
2025 / 12 / 16 火曜日
ログイン
English
トップニュース南海トラフ地震臨時情報 水や米飯が伸長 お盆商戦には冷や水か

南海トラフ地震臨時情報 水や米飯が伸長 お盆商戦には冷や水か

8月8日午後4時43分ごろ、宮崎県南部で最大震度6弱を観測する地震が発生し、気象庁が午後7時15分に南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)を発表した(8月15日17時をもって解除)。発表後、一部で大容量のミネラルウォーターやパックごはんなどの需要が増加した。

これらの需要増は、防災意識の高まりによるものと思われるが、例年増加傾向にあるお盆休み前の出荷であることから、発表後1週間程度では因果関係がつかみづらい。防災特需以上に、お盆商戦に冷や水を浴びせる恐れのほうが大きいとの見方もある。

商品がない空っぽの店頭棚を強調して報じる向きもあるが、飲料・食品はおおむね安定供給が保たれている。

セブン&アイ・ホールディングスは、首都圏・中京・関西のイトーヨーカドー全店とヨーク全店で2L飲料水の販売を制限。ひと家族につき2ケース(12本)までとしている。

コメも、ひと家族1袋限りとしているが、これはコメの在庫状況によるもので今回の発表とは無関係。いずれも日々、店舗への納品はできているという。

発表後の販売動向について「全体感としてミネラルウォーターとパックごはんで伸長の動きがみられる」と回答するのはイオン。

サミットは「コメと水の売上が伸びた。台風の影響もありカップ麺の売上も伸びている。ただし、防災コーナーの設置には至っていない」とコメント。

さらに、関西の流通筋からは「むしろ、ここまで猛暑で順調に来ていたのが、地震への警戒で行楽地などへの人出が減るのを危惧している」(関西を地盤とする地域卸幹部)、「今年は前半の三連休と合わせ休みの期間が長く昨年以上に帰省需要を期待していたところに株価暴落、地震注意と続きムードが悪化した。防災特需も一部あるが、本来のお盆商戦の停滞を懸念する」(関西の地域スーパー)との声が聞かれる。

ミネラルウォーターはそもそも拡大基調にあり、8月も連日の全国的な猛暑によりプラスで推移しているとみられる。

トップブランド「サントリー天然水」を展開するサントリー食品インターナショナルは「飲料の最盛期かつ猛暑でもあり一概に注意報の影響とは申し上げられない」と回答。

コカ・コーラシステムは「い・ろ・は・す」について「一部の店舗で需要が高まっていることを確認しており、エリアごとの状況に応じて適宜対応を進めている」と説明する。

そのほか「一時的にミネラルウォーターの注文が多くあったが、安定して供給できるよう関係各所と連携している」(キリンビバレッジ)、「備蓄需要として大型容器を中心に発注は増えている状況」(伊藤園)との回答が寄せられる。

なお全国のスーパー店頭での水の販売実績は、発表前の8月1日から7日まで7日間の前年同期比で金額2.3%減、数量5.1%減だったが、発表後にはマイナスから一転。8月8日から12日の5日間で金額128%増、数量93.3%増を記録した(㈱マーチャンダイジング・オン RDS市場データ スーパー全国/収集店舗数6千673店=5月時点)。

食品でも動きがみられる。東洋水産では、「マルちゃん」ブランドで展開する即席麺とパックごはんの受注が9日以降に増加。ただし旧盆の期間と重なったことで、あらかじめ多めに受注していた数量で対応している。

同社は「店頭での動きは活発になっているようだ。この状況が続けば商品供給に影響が出る可能性も考えられるが、現時点で長期化するとは想定していない」とコメントする。

関連記事

インタビュー特集

日本酒「獺祭」輸出4割増 「海外トップブランドが強み」桜井社長

清酒「獺祭」の輸出が世界各国で伸びている。前9月期は総売上高213億円(前年比9%増)のうち、輸出実績(未納税含まず)は79億円、実に4割増だった。

日清オイリオ久野社長 価格改定の早期完遂目指す 家庭用、中長期視点で強化

日清オイリオグループの久野貴久社長は、喫緊の課題として価格改定の早期完遂と、ホームユース(家庭用油)の販売強化に取り組む方針を示した。

J-オイルミルズ春山社長 次元の異なるコスト環境 油脂、価格引き上げ急ぐ

J-オイルミルズの春山裕一郎社長執行役員CEOは、油脂のコスト環境が悪化する中で、「価格改定の浸透を急ぐ」方針をあらためて強調した。

新潟・葵酒造、2年目は自社栽培米で仕込む 「Domaine Aoi」始動 「日本酒になじみがない方にも」青木代表

「飲むことで幸せを感じられるような日本酒を提供していきたい」と話すのは葵酒造(新潟県長岡市)の青木里沙代表取締役。昨年冬、JR長岡駅からほど近い場所に位置する創業160年超の旧高橋酒造から事業を引き継ぎいだ。

カゴメ次期社長 奥谷晴信氏 国内、新たな成長軸を模索 国際、M&Aも視野に成長を

カゴメの次期社長(2026年1月1日付)に内定した奥谷晴信現取締役常務執行役員(一部既報)。アジア事業カンパニーやグローバルコンシューマー事業部、国際事業本部などキャリアの多くを国際事業に携わってきたが、21年以降は国内事業でも手腕を発揮。