端境期の正しい一手

今夏の旧盆が終わりを迎えようとしている。ご先祖さまの霊魂が浄土から現世に戻ってこられる期間とされており、お墓参りに出掛けた方、自宅で迎え火を焚かれた方など多くいらっしゃると思う。季節が夏から秋に移り替わっていく節目とのイメージも強い。

▼食品スーパーの店頭では8月下旬から9月にかけて春夏商材から秋冬商材への棚替えが本格化していく。しかし近年は気候変動を背景に残暑が長引く傾向にある。昨年の歴史的な酷暑は記憶に新しいところ。大手生麺メーカーの幹部は「小売業から冷し麺の販売期間を延長したいとの要望が増えている」と明かす。

▼とはいえ季節商材の増産はリスクが大きい。仮に残暑がほとんどなかった場合、包材などがロスになるからだ。例えば21年は8月中旬に台風や秋雨前線の影響で気温が低下、夏季商材の販売にてこずった。

▼前出のメーカーは、盛夏に冷し麺の特売を減らしたという。その代わり端境期にざるそば・ざるうどんなどのメニュー提案を強化。「生産や物流の人手不足が深刻度を増すなか、販売の平準化を図りたい」。正しい一手だと思う。