農業基本法の改正を評価 食品産業の位置付けが明確化 食品産業センター

一般財団法人食品産業センターの荒川隆理事長は“農政の憲法”と言われる「食料・農業・農村基本法」の一部改正に関する法案が国会で成立したことを受け、従来の食品産業は農林水産業との関係性が中心だったが法改正により「食料安定供給実現のために欠かせない産業」と捉えられ、「食品産業がしっかり位置付けられた」として評価した。「今まで食品産業は、国内農業のオマケのように捉えられてきたが、法改正により農業と食品産業がウインウインの関係になった」と語った。

改正基本法により

①農業と同様に、食品産業の発展を通じた食料供給能力の確保が規定されたこと②農業生産だけではなく、食品製造・流通・消費に至る一連の流れを「食料システム」として概念を明確化し、規定されたこと③国内農業との連携強化に加えて、食品産業における新規事業創出及び海外における事業展開の必要性が規定され、「食品企業にとって製品輸出は大事だが、海外事業展開にも後押ししてほしいと要望してきたが、これがしっかり規定された」とした。

適正な価格形成については、従来の需給事情及び品質評価が適切に反映されるべきとの市場メカニズムに加えて、食料の持続的な供給に要する合理的な費用が考慮されるべきとの規定が盛り込まれたことなどをポイントに挙げ、「食料システムの当事者の誰もが抱えているコストを考慮して、川下に転嫁できるようにしていかなければならないことが明記されている。農産物の一次取引だけに着目した仕組みにならなくてよかった」と語った。

適正な価格形成については、引き続き「適正な価格形成に関する協議会」での検討を一層深化させ、来春の次期通常国会に、適正な価格形成に関する法制度も含めた食品産業・食料システムの総合的な支援法の制定を強く要望する。

その他の主要ポイントとして食料安全保障の定義、多様な担い手の位置付け、環境に調和した農業、農村の振興などが盛り込まれ、来年3月をめどに、施策の具体化と食料自給率目標等を定める新たな「食料・農業・農村基本計画」が策定される予定。