食品事業の育成に力を入れるアイリスオーヤマでは、市場の躍進が続くパックごはんと炭酸水の生産増強へ鳥栖工場(佐賀県)での本格生産を7月9日から開始した。
同社は東日本大震災の被災地支援と農業復興を目的に、13年に精米事業に参入。15年にはパックごはんの製造を開始したのに続き、21年からは震災などの災害発生を見据えて飲料水事業にも着手。昨年の食品事業売上高は290億円(前期比21%増)へと成長した。
日本の食品は海外でも需要が拡大。23年の輸出額はパックごはんが19年比で約2倍、清涼飲料水は13年比で約4.3倍など急成長をとげている。
従来はプラスチック製品やLED照明を生産してきた鳥栖工場に、新市場の開拓や輸出を後押しする農水省の「産地生産基盤パワーアップ事業」を活用して、新たに食品の製造設備を導入した。西日本への供給拠点とするほか、ASEANをはじめとしたアジア圏への食品輸出拠点としても位置付ける。30年のパックごはんと飲料水の輸出額はそれぞれ、30億円と50億円を見込んでいる。
世界に広がるパックごはん 炭酸水は新ブランドも
同日に鳥栖工場で会見した同社の大山晃弘社長は「パックごはんは国内市場が毎年平均5%ほど拡大。共働き家庭の増加とともにニーズが広がり、コメ消費が減少するなかで特異な動きを示している。また海外輸出も4年間で倍増し、パックごはん文化が世界に広がっている」と期待を示した。
また鳥栖工場では、炭酸水の新ブランド「CRYSTAL SPARK(クリスタルスパーク)」を国内工場で初めて生産。ネーミングから味わいがイメージしやすく、爽快に弾ける炭酸の爽やかさ、毎日の暮らしにきらめきを添えたいといった思いを込めているといい、炭酸水でもブランド確立を目指す。
鳥栖工場のパックごはん生産能力は20万食/日。角田工場(宮城県)と合わせ120万食となる。また炭酸水は500㎖PETボトル3万1200本/日。国内3工場合わせて9万3千600本。
同社では今後、国内7拠点の食品工場の生産力を増強するほか、さらなる生産拠点の増設も視野に体制を拡充。30年には食品事業で現在の3倍以上となる1千億円、うち輸出額100億円とする計画だ。