日東ベストは、コロナ禍で苦戦を余儀なくされた主力の業務用冷凍食品事業を立て直し、持続的成長への回復を目指す。今期から5か年にわたる中期経営計画「Reborn&Growing 2028」を始動させた。
このほど都内で記者懇談会を開き、塚田莊一郎社長は「中計には“再生”への想いを込めた。とくに畜肉製品では当社の強みを発揮していきたい」など語った。最終28年度に経常利益20億円(23年度5億円)を目指す。これはコロナ禍前の15億円前後を上回る水準となる。
塚田社長は中計の重点テーマを「冷凍食品事業の立て直し」と「畜肉のベストの復活」の2点と説明。「これらの実現なくして当社の将来はないとの危機感を持っている。あわせて生産体制の再編と既存設備の更新を具体化させることも重要。そのためにも利益をしっかり上げて、投資に回せるようにしたい」と述べ、「畜肉のうち当社を代表する豚カツや焼肉では他社を凌駕するつもりで市場をとっていきたい。コロナ禍で苦戦した数年を挽回する中計にしていく」など話した。
24年3月期業績は売上高542億7千100万円、4.6%増、経常利益5億4千600万円、25.7%増と増収増益。部門別の売上は冷凍食品が422億3千400万円、3.3%増。
業態別にみると、コロナの5類移行で外食分野が12%増と好調。居酒屋、レジャーなど活況する市場にタイムリーに商品供給した。ただし、渡邉昭秀取締役常務執行役員は「19年度の水準には戻っていない。引き続き二ケタ伸長を目指していく」。
総菜分野は4%減とマイナス。大口取引先の変更などが影響した。給食分野は6%増と堅調。うち、学校向けは高水準だった前々期をクリアし、病院・施設向けは7~8%増と続伸した。
25年3月期の業績予想は売上高580億円、6.9%増、経常利益9億円、64.8%増とさらなる収益改善を目指す。諸コストが大幅に上昇する環境下、4月に価格改定を実施したが、引き続き低価格に頼らない提案営業を強化していく方針。
「デリカでは独自の市場調査をもとにバイヤーへのきめ細かな提案を実施。外食はこれまで小口を中心に取り組んできたが、大手チェーン店などにも当社製品の認知を高めたい。伸びが期待できるホテル・レジャーなどのバイキング向け商材は専用のリーフレットで訴求を強化している」(渡邉取締役常務執行役員)。
なお設備投資は前期が約13億円。東根工場の冷凍弁当ライン導入、山形工場のハンバーグライン更新など。今期は約14億円を計画。天童工場の牛丼ラインで省人化・自動化などを予定する。