缶詰・びん詰 昨年は生産量10%減 厳しい原料事情とコスト高 主力品が軒並み減産

日本缶詰びん詰レトルト食品協会がまとめた、23年(1-12月)の缶詰びん詰国内生産量は199万t(実箱換算3億2,203万箱)、前年比6.8%減となった。このうち、飲料缶詰を除いた一般食料缶詰・びん詰生産量は23万1,000t(3,288万箱)、前年比8.7%減。一般食料缶(飲料を除く丸缶)は16万1,000t(2,211万箱)、前年比10%減と落ち込んだ。

主要品目では、イワシ、モモ、スイートコーン、ウズラ卵水煮、カレー類、スープ類が増加したが、マグロ、カツオ、サバ、サンマ、ミカン、クリ、混合果実、ゆであずき、やきとりなど、生産量の大きい品目が減少し丸缶全体で大きな落ち込みとなった。一般食料缶詰、びん詰の生産量は、すべての分野でマイナスとなった。

水産缶では、イワシが27.2%増(126万箱)。漁獲が安定していたことや、原料状況が厳しいサバやサンマなど他の青物缶詰の需要を取り込み、大きく伸長した。主要品目では、マグロ・カツオ類12.1%減(563万箱)、サバ28.6%減(241万箱)など、原料事情の悪化やコスト上昇で軒並み減産となった。

果実缶では、最大品目のみかんが7.6%減(24万8千箱)となったが、ももが5.1%増(31万5千箱)と伸長。黄桃は6.6%減(6万7千箱)だったが、白桃が10.5%増(24万8千箱)と貢献した。生産量の多い品目では、混合果実13.5%減(82万9千箱)、その他果実1%減(35万2千箱)、フルーツみつ豆12.5%減(21万4千箱)といずれも減少。リパックや業務用が主体の大缶も主要品目で減産となった。

野菜缶では、主要品目のスイートコーンが1.9%増(133万箱)。クリーム品が減少したが、ホール品が増加。北海道産は微減だったが、輸入原料を使用したリパック品などが伸長した。ゆであずきは22.3%減(72万7千箱)。パウチ製品へのシフトにより大きく減少した。

食肉缶は、ウズラ卵水煮が14%増(10万箱)。業務用需要の回復で2年連続の二ケタ増となった。主力品目のやきとりは11.9%減(59万8千箱)。「コロナの行動制限がなくなったことで家飲み需要が減少したのでは」(事務局)とした。

調理・特殊缶詰では、カレー缶が業務用向けの1号缶が増加。スープ類は、その他野菜のドリンクスープが好調だった。

なお、23年の缶詰輸入量は62万5千t、前年比8.6%減。国内生産および輸入量、輸出量を加味した23年の一般食料缶詰びん詰国内供給量は85万t、同8.6%減となった。

レトルト食品1.4%減 透明パウチへの移行も

23年のレトルト食品国内生産量は37万5千t(5千788万箱)、前年比1.4%減。3年連続のマイナスとなった。

全体の約4割を占める最大品目のカレーが4.8%減(2千272万9千箱)。市販品でレンジ対応の透明パウチへのシフトが進んだことで減少した。どんぶりの素などが含まれる食肉野菜混合煮は12%減(512万箱)、17年以来のマイナスとなった。コロナ禍が終息し、内食需要の低下や一部ブランド製品の内容量変更もあり減産となった。

そのほかパスタソース5.2%減(523万箱)や料理用調味ソース2.7%減(686万箱)も減少。つゆ・たれは22%増(569万箱)と増加した。

缶詰・瓶詰生産数量の変化 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)