こうや豆腐に含まれているたんぱく質には、様々な健康効果が認められている。その一つに「筋肉維持」があり、高齢者のフレイル予防や、将来的に宇宙食として活用しようという研究が進められている。二川健・徳島大学大学院医薬学研究部宇宙栄養学研究センター生体栄養学分野教授がこのほど、旭松食品との研究内容について発表した。
寝たきりや無重力の宇宙で筋肉を使わない状況になると、筋肉は急激に減少する。これは筋委縮にかかわる遺伝子の発現が活性化することで引き起こされるもので、これまでの研究では大豆たんぱく質を摂取すると、遺伝子の発現を抑えることが明らかになっていた。
今回新たに、大豆たんぱく質を多く含むこうや豆腐を使って、筋委縮効果について検討した。マウスに動物性たんぱく質、大豆たんぱく質、こうや豆腐たんぱく質をそれぞれ与え、坐骨神経を除いて寝たきりや宇宙飛行に近い状態にして遺伝子の発現量を比較した。
神経を切除したことにより筋肉の分解に関与する遺伝子が増加したが、こうや豆腐や大豆たんぱく質を摂取すると、その増加を抑えることができた。こうや豆腐のタンパク質は大豆たんぱく質と同等の筋肉維持効果があり、寝たきりや宇宙の長期滞在による筋委縮を防ぐことができる食品になりうることが分かった。
また二川教授は、動物性たんぱく質と植物性たんぱく質の違いにも触れ、老年期には動物性たんぱく質より、筋たんぱく分解が優位な植物性たんぱく質の摂取を重視すべきで、動物性と1対1で摂取することが望ましいと推奨。徳島大学では他大学との共同研究により、両方のたんぱく質の良い点を合わせもつコオロギたんぱくについて研究を行い、食料問題の解決や宇宙進出に向けて、循環型食糧生産システムの開発が進んでいることなども紹介した。