ヒガシマル醤油は、「量から質への転換」や「高付加価値商品の強化」を推進し、着実に成果をあげている。
前12月期決算の売上高は前期比103.3%、経常利益122.8%を記録。原材料、物流費などのコストアップや節約志向など厳しい環境だったが、数回の価格改定を経て増収増益を達成。「コロナが明けて家庭用、業務用とも順調に推移しており、全体的には2019年度の業績まで回復。今後は成長の芽を幹に変えていく」(岡田信一専務取締役)方針だ。
家庭用は、高付加価値商品の「牡蠣だし醤油」「超特選丸大豆うすくち 吟旬芳醇」「国産丸大豆うすくち」のフレッシュボトルが全体をカバー。業務用は外食、中食の回復で主力の1.8ℓハンディボトルを中心に10ℓ、18ℓ、20ℓが回復。粉末は内食の増加で「うどんスープ」の首都圏の好調さが牽引し、東日本全体でも大きく伸長。麺関連の「カレーうどんスープ」「ラーメンスープ」「ちゃんぽんうどんスープ」「そばスープ」も好調だった。
液体はコロナ明けで家庭用めん、つゆ類に反動が出たが、「めんスープ」「京風割烹白だしつゆ」が高止まりで好調を維持。業務用は外食、中食の回復で大幅伸長。「調理現場での人手不足により基礎調味料から複合調味料の切り替えが進んでおり、当社はメニューおよびオペレーションの簡素化に向けた取り組みでユーザーの評価を得た」。
今年度1~5月は金額105.6%。醤油は金額104.9%となり、物量、金額とも昨年を上回った。フレッシュボトルに注力し、特に「牡蠣だし醤油」が二ケタ増。業務用は昨年後半から基礎調味料から複合調味料および安価製品への切り替え、冷食需要が増えたことで物量減少も価格改定で金額は伸長。粉末は金額107.1%と好調。節約志向により麺食が増加し、冷凍麺、チルド麺の品質向上や首都圏のプレゼント企画も奏功。また「うどんスープ」60周年キャンペーンも貢献し、6Pは東日本全体で伸長。昨秋発売の「タンメンスープ」も首都圏中心に拡大。米飯の「ぞうすい」「ちょっとどんぶり」は年初来好調に推移し、「ぞうすい」は金額、物量ともプラス。「ちょっとどんぶり」は新価格の定着に注力したため金額は前年比クリアも物量は苦戦。液体は金額104.8%。家庭用主力の「めんスープ」「京風白だし」「まろやかぽんず」は物量減少。「蛤と帆立の白だし」はSNSで取り上げられ再度注目株。つゆ類のペット「ぶっかけ」は前年並みをキープも、個食ポーションは物量減。業務用は基礎調味料から複合調味料へ進み、醤油は物量苦戦も、「割烹白だし」中心につゆ・たれ類は堅調。
昨年の東京支店は、二ケタ弱の伸長。家庭用は一ケタ台の後半、業務用は二ケタ伸長。「特化商品のうどんスープの拡大を軸足に展開し少しずつ芽吹いてきた」(窪薗智東京支店支店長)。「牡蠣だし醤油」は昨年11月のテレビで取り上げられ今年も二ケタ増。現在、店頭での生鮮連動を交渉中。業務用は薄口は伸長したが、人手不足の影響で複合調味料の「割烹関西白だしつゆ」の濃縮つゆが増加。中食にも拡充を図る。今年1~5月も家庭用の伸長が牽引し二ケタ増持続。引き続き消費者との対話場面を創出する方針。
昨年は販促活動として池袋サンシャインシティで「うどんスープ食堂」と銘打ったイベントを実施。約2千人が来場し、行列ができるほどの盛況ぶり。これを数か所で行い「うどんスープ」のおいしさを体感。「関西圏はつゆを飲み干すが東日本は飲み干す習慣がないとみられていたが、実際には飲み干す人が大半を占めるなど新たな発見もあった」。また、たまプラーザ駅隣接施設で試飲などを通じてコミュニケーション機会を創出。サンプリングやSNS活用、六本木での広告も反響があった。
「今年下期は物流費などコストアップ要因が本格化し、節約志向の継続で量販からの価格要請が強まっている。不透明な市場環境だが、消費者への直接的なコミュニケーションを継続し、有効な情報発信により付加価値をしっかり伝える」(内山賀文営業本部本部長兼大阪支店長)。その一環として8月以降に「うどんスープ」60周年企画第2弾を首都圏、近畿圏で実施。9月から売場と連動した提案型テレビCMも実施する。