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小売CVSセブン⁻イレブンがオーストラリアに進出するこれだけの理由 人口増加・スーパー席捲・コンビニ少なく間に合わせの品揃え
2025台湾食品調達商談会 in Osaka by 台湾貿易センター

セブン⁻イレブンがオーストラリアに進出するこれだけの理由 人口増加・スーパー席捲・コンビニ少なく間に合わせの品揃え

 日本と北米以外のグローバルCVS(コンビニ)事業を担う7-Eleven International LLC(7IN)は、子会社を通じて2024年4月1日にオーストラリアでコンビニと燃料小売事業を営む運営会社の全株式の取得を完了した。

 買収した運営会社(SEA)の子会社は、「セブン⁻イレブン」ブランドのライセンシーとして長年にわたりオーストラリアでCVS事業を展開。CVS売上シェア32%を握り同国最大のCVS小売業者へと成長している。23年6月末現在でSEAが抱える店舗数は751店舖に上る。

 SEAの陣頭指揮を獲る7INの阿部真治取締役兼会長は、4月23日開催した「IR Day2024」で、成長が見込める要素の1つに人口増加を挙げる。

7INの阿部真治取締役兼会長
7INの阿部真治取締役兼会長

 国連経済社会局の世界人口予測(2022年)を引き「2020年1月の人口を100としたときに、オーストラリアは移民を受け入れる国のため2050年に126のペースで人口が増えていく。平均年齢も非常に若く子育てファミリー層が多く、まだまだ伸びる可能性がある成長市場と捉えている」と語る。

 1店舖当たりの人口は、日本のセブン‐イレブンが5780人(23年8月時点)、北米のセブン⁻イレブンが2万5789人(同)であるのに対し、オーストラリアは3万4574人(23年6月時点)であることから、さらなる出店余地を見込む。「東海岸をより密度濃く出店していく」という。

 現状、日本や北米と比べて品揃えが少ない点でも開拓余地を見込む。

 「国民一人当たりの消費量に直すと、日本のCVS市場は1人あたり約10万円であるのに対し、オーストラリアは約2万円。品揃えを変えることでまだまだ伸ばせる」とみている。

 オーストラリアの小売業界はスーパーが席捲。

 「食品業界において62%のシェアをスーパーが握り、コンビニは、セブン‐イレブンに限らず見てみると、間に合わせのもの、エマージェンシーニーズに対応した品揃えがほとんど」と説明する。

 間に合わせの品揃えは、オーストラリアのセブン‐イレブンではガソリンスタンドを併設していることも背景にあるとみられる。
 今後は、商品力やオペレーションを強化して非ガソリン店舗も強化していく。

 「今までガソリン併設店でしか出せなかった利益というのを“ガソリンなしでも”となると、出店する場所が圧倒的に出現してくる。そこへ、我々が出店を加速していくことによってガソリンなしでも十分に利益・採算が成り立つコンビニということで増えていく。その意味でスーパーのシェアを我々が取っていきたい」と意欲をのぞかせる。

 品揃え強化の具体策としては、ホット飲料を軸にサンドイッチなどのフレッシュフードを強化。ワンストップでニーズを満たすアイテムを増強していく。

 「“朝起きてから夜寝るまでの間に必要なものは大抵1店舗に揃っている”という品揃えにしていく。さらに店舗運営システムを改善して売場効率を向上し単品管理を実行していく」と語る。

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