アサヒ飲料の「ウィルキンソン」はブランド120周年の今年、最需要期の夏場に向けて新規ユーザーの獲得と既存ユーザーの飲用シーン拡大の両輪で施策を実施して17年連続成長を目指す。
2024年販売計画は前年比4%増の3470万ケース。
5月15日、説明会に登壇した香山宏マーケティング本部マーケティング一部無糖炭酸・果汁グループグループリーダーは「さらに大きなブランドに成長させる。2030年には、誰もが生活の中で炭酸水の価値を感じて飲用しているという炭酸水の新文化を定着させたい。そのために、今年は新規顧客の獲得と既存顧客の飲用シーン拡大の両軸で取り組む」と意気込みを語る。
新規顧客の獲得に向けた取り組みでは、「WILKINSON GO」シリーズの立ち上げとサンプリングに注力していく。
「WILKINSON GO」は今年4月に「WILKINSON GO テイスティグレフル」を発売。有糖炭酸と無糖炭酸水の中間にある、微糖の領域に挑戦した商品となっている。
6月11日には、「WILKINSON GO テイスティマスカット」を新発売し、さらなるユーザー拡大を目指す。
サンプリングでは、おいしさを実感できるシーンでの訴求を行う。香山グループリーダーは、「炭酸水の飲用経験がないお客様にその理由を確かめると、“そもそも炭酸水をいつ飲んだらいいかがわからない”という声を多くいただいた。そのため、炭酸水をおいしく感じられるシーンを設定したサンプリングを徹底的にやっていく」と話す。
5月から6月にかけて“風呂上り”、7月は“炎天下”、7月から8月にかけて“運動後”にそれぞれ設定して行う。
「ウィルキンソン」が飲まれるシーンで最も多いとされる“風呂上り”については、全国のサウナ・温浴施設で約20万人にサンプリングを実施している。
5月24日から30日には「堀田湯」(東京都足立区)、5月27日から6月2日には「文化浴泉」(東京都目黒区)とのコラボレ―ションも実施。「ウィルキンソン」のロゴをデザインした暖簾や、「ウィルキンソン」カラーの風呂で話題化を図っている。
既存顧客の飲用シーンの拡大には、With Food(ウィズフード)を提案する。
「普段炭酸水を飲む方は、リフレッシュや割材目的が多い。食事との組み合わせを提案することで、飲用シーンを拡大する」と語る。
7月にはWith Foodを訴求するTVCMやPR施策を企画。
7月9日には、食事に合う炭酸水として「ウィルキンソン タンサン シトラスビター」を新発売。店頭でもWith Foodを訴求し、これらを連動し飲用シーンの創出に取り組む。
今年は周年を記念し、新たに「ウィルキンソンの日」も制定。ブランドの生みの親であるウィルキンソン氏の誕生日と、炭酸水の需要が高まる夏場を考慮して7月15日を記念日と定めた。
「ウィルキンソンの日」に向けては、店頭で「ウィルキンソン」の世界を体験できる施策を計画。さらに、「ウィルキンソン」ブランド発祥の地である宝塚で、地域共創も含めた施策も検討しているという。
炭酸水市場の課題については、成長の鈍化を挙げる。
香山グループリーダーは「現在、炭酸水の飲用経験率は約50%に留まっており、一定数のユーザーを取り切ったと考えている。飲用経験率をさらに引き上げていくには、こちらからの働きかけで飲んでいただくきっかけを作ることが重要。『ウィルキンソン』を一番おいしく飲んでいただけるタイミングでのサンプリングを通し、価値を知っていただきファンになっていただく」と語る。
食事シーンでの需要獲得にはお茶や無糖茶飲料が立ちはだかる。
「日本では昔からお茶があり、食事との相性も良い。そのため、わざわざ炭酸水を合わせるという文化がなかなか無かった。現在は有糖炭酸を飲まれている方が多いが、無糖化の流れが進んでいるため、気持ちを前向きにするといった『ウィルキンソン』ブランドの価値を伝え新しい提案をしていく」と意欲をのぞかせる。