そうめん商戦盛況を祈願 初売り2年連続「安値」に

手延そうめん商戦の始まりを告げる恒例の「ト定祭(ぼくじょうさい)」が5日、三輪明神大神神社にて行われた。3~4月頃から本格化する商戦の盛況を祈願するとともに、前年秋から生産されている「令和5年度産三輪素麺」の初売り価格を占いで決定する。

奈良県桜井市にはかつて日本最古の市・海拓榴市があり、旧暦1月6日(2月5日)の初市には全国から商人が訪れて物の相場を決めた。その名残りとして今もなお、三輪そうめんの初相場を神前で決める慣習が残っている。主催は奈良県三輪素麺工業協同組合とその販売業者8社で組織する奈良県三輪素麺販売協議会。

ト定祭では地元の有力者や他産地の乾麺関係者など78人が参加し、宮司による祈祷や巫女の舞が行われた。「ト定の儀」では、安値、中値、高値の中から占いで「安値」の託宣がくだり、「三輪の誉(ほまれ)」1箱18㎏の初売り価格は、昨年同額の1万1千800円で取引されることが決まった。その後、各界代表による玉串が奉納され、商売繁盛を願った。

小西幸夫理事長は「2年連続の『安値』のお告げに気が引き締まる思い。人手不足や高齢化により事業継承が困難な時代となった。年々生産量も減少して厳しいものの、需要は多くいただいている。残る生産者に増産体制を取ってもらいながら、三輪素麺の特徴である、細く美味しいそうめんを提供していきたい」など話した。