菓子卸最大手で自社企画品(モントワール商品)を手掛ける山星屋は下期(3月期)、菓子業界で増加傾向にあるとされる欠品の抑制に努め2期連続の増収増益を目指す。
今期の出足は前期の増収増益基調を維持。前期は下期に売上拡大に拍車がかかったことから、今下期を迎えるこれから高い前年比の壁が立ちはだかり正念場を迎える。
9月13日取材に応じた猪忠孝社長は下期の重点施策に調達を掲げる。
現状について「最近はメーカーさまから欠品や終売のご案内をいただくが、突然だと空いてしまった棚を埋めることもできず当社も困ってしまう」と嘆息する。この事態を回避すべく、繁忙期の11月から来年1月までの3か月間を強化月間と定め、欠品率の大幅低減に注力していく。
具体策としては「あらかじめある程度の計画的な数量を当社から伝えるなどしてコミュニケーションを密にして調達ミスを阻止するとともに、供給不安のある商品を早い段階で終売扱いにしてもらう」と説明する。
トラックドライバー時間外労働の上限規制が適用される「2024年問題」と呼ばれる物流課題への対応としては、ドライバーの待機時間削減に取り組む。
そのための施策として検品レスを推進。「検品は、数量や賞味期限、他の商品が入り組んだりしていないかを確認する作業でものすごく時間がかかる」と指摘する。
山星屋では昨年から、ドライバーに対して、積み下ろしたら検品のための待機は不要と定めている。
「検品レスはお取引さまへの信頼をベースにしたもので、不備があれば後から連絡するのだが、その際も信頼をベースにスムーズな対応を心がけている」という。
なお前期(2023年3月期)業績は、5年ぶりの増収増益で着地した。前々期は増収減益だった。
前期の増益には、国分のシステムに完全移行したシステム投資が終わったことと、売上高が前年比約8%増の3千19億6千500万円を記録しトップラインが拡大したことが大きく寄与した。
営業利益は約23%増の20億5千800万円、経常利益は約26%増の23億6千200万円、純利益が約27%増の16億2千600万円となった。
増収要因には、ドラッグストアでの販売好調と、帳合変更によりコンビニと新規取引ができたことが貢献した。
昨年発表した「People’s 菓子PRIDE2024」中期経営計画では売上高2千900億円、営業利益25億円を掲げる。売上高は前期、前倒しで達成した。