日本スペシャルティコーヒー協会(SCAJ)の秋本修治会長(極東ファディ社長)は9月27日取材に応じ「SCAJ創立から20年が経ち、これまでの味覚評価の仕組みを変えていくか否かの議論がなされている」ことを明らかにした。
その議論は、アメリカスペシャルティコーヒー協会(SCAA)が味覚評価の変更に踏み切ったことを受けた動きとなる。
SCAJはこれまでSCAAの影響を受けて運営されてきたことから「20年かけて培われたSCAJ独自の良い部分を伸ばしていくのが良いのか、それともSCAAに追随するのが良いのか、2つの考え方がある」という。
新・味覚評価基準にはコーヒーの品質以外の要素が盛り込まれている。
「これまでのところワインと同じで、味わいやフレーバーなどが評価されているが、新基準はそれだけでなく、有機栽培など環境にやさしいといったことも評価項目に入る可能性がある」と述べる。
SACJは引き続きスペシャルティコーヒーの普及・発展を目指す。
「新型コロナウイルスが5類に移行したこともあり、セミナーも復活している。カッピングスキルを磨くことがおいしいコーヒー普及の原点のため、これからも取り組んでいく」と意欲をのぞかせる。
国際的な研究機関ワールド・コーヒー・リサーチ(WCR)のサポートも継続する。
地球温暖化による気候変動やサビ病がコーヒーの持続的な生産を脅かす中、WCRはそれらに耐えうるべく品種改良などに取り組んでいる。
喫緊の課題は活動資金が不足している点で日本企業にも幅広く協力を呼び掛けている。
SCAJはWCRの窓口を務めWCRの活動をサポートしている。
9月27日から30日まで東京ビッグサイト(東京都江東区)で開かれたアジア最大級のスペシャルティコーヒーの展示会「SCAJ ワールドスペシャルコーヒーカンファレンス アンド エキシビション 2023」(SCAJ2023)には、32の国と地域から過去最多となる300以上のブースが出展した。
今年は会場を拡大するとともに、会期も従来の平日3日間から土曜日も含む4日間に延長。来場者は4日間で6万9701人と、3日間で4万4052人だった昨年の記録を大きく塗り替えた。
今年の特徴としては「コーヒーの生産国の出展が多く見られ、原料を扱っているブースが増えた。日本のスペシャルティコーヒーのマーケットは、同じアジア圏の韓国や中国よりも大きいため、生産国も国をあげて売り込んできている」と説明する。
来場者は年々増加傾向にあり、プロ以外の一般消費者の入場も増えていることから展示会の運営の在り方も今後検討していく。
「BtoBを目的に出展した企業様にとっては、一般消費者が増えることで商談機会が失われてしまう。Bを意識した展示会とCを意識した展示会と分ける必要があるのかなど、これから決めていかなければならない」と語る。