アイス 想定超える猛暑到来に主力品の生産を最優先

各地で35℃以上の猛暑日が続き、気象庁は熱中症への厳重警戒を呼びかけている。アイスの主力品はお盆までは耐えられる分の備蓄を確保しており、4日時点では緊急対応などのひっ迫感はないが、メーカーは一部夏物商品の終売時期を早めたり、生産調整を行うなどして、店頭商品が切れないよう主力品を最優先に生産している。

7月の売上は、ロッテの夏仕立て「クーリッシュ」が前年比25%増と好調だった昨年からさらに伸ばし、「爽」も新フレーバーのヒットと猛暑で18%増と押し上げた。「スイカバー」など一部夏物の商品も店頭回転がよく、予定より2週間前倒しで終売を予定している。

夏の販売ボリュームが特に大きい赤城乳業は、主力の「ガリガリ君」ブランドが19%の伸びを示し、フレーバーにより追加生産をやめ、主力のソーダと新商品の梨に生産を集中する。森永製菓「アイスボックス」は十分な備蓄を用意したが、想定を超える売れ行きで1.4倍近く伸ばし、江崎グリコの「パピコ」も一部季節商品が早期終売となる見込みだ。

「冷夏や台風が来ると氷菓系は全く売れないが、今年は通常の夏を想定して備蓄した」(丸永製菓)、「昨年の夏を上回る生産計画を組んだ」(フタバ食品)など、各社昨年の猛暑を踏まえて前年を上回る売上目標と連動させて十分な備蓄量でスタートしたが、想定を超える猛暑となった。

今後も猛暑が続いた場合に懸念されるのが、他社商品が品切れした場合のしわ寄せで在庫が厳しくなるパターン。他社の主力品が切れた場合にも「差し替え対応まではできない」「一時的な売上を優先して定番品を切らせば元も子もない」(メーカー)とする声も聞かれる。

仮にお盆以降も猛暑が続くと、品数の多いメーカーは夏物商品を絞って主力品の生産に集中する。一方、夏物商品が少ないメーカーは、秋季商品の販売時期を遅らせるなどで対応せざるを得なくなる。

各社とも秋冬施策にも力を入れており、棚替えや商品施策への影響は極力避けたい。本格的な台風シーズンへの突入を前に、天候と連動したアイスの動きが注目される。