森永製菓の「森永甘酒」ブランドが完全復活の兆しをみせている。
甘酒市場は近年、甘酒以外のアーモンドミルクやオーツ麦ミルクなどの健康飲料への流出もあり低迷。
甘酒市場の2021年販売金額は前年比23.3%減(出典:インテージ社SRI+)と大きく落ち込んだ。
22年(22年4月~23年3月)は7.2%減の153億円(出典:インテージ社SRI+)と復調傾向にあり、今年に入り好転へと潮目が変わったと指摘するのは、7月20日、囲み取材に応じた森永製菓の渡部耕平マーケティング本部食品マーケティング部ブランドマネジャー。
「22年(22年4月~23年3月)、我々は市場よりもよく6%弱の減少に留まった。今年4月くらいから前年を越えるようになり 4-6月と市場全体がかなり盛り上がった。それに加えて、6月にTV番組で甘酒が紹介されて勢いに拍車がかかり、本当に有難い」と振り返る。
4―6月の好調要因については「人流が回復してきたことと、食生活で体調管理を心がけるセルフケア意識の高まりによるものだと推測している。アーモンドミルクなどの植物性ミルクも落ち着き、少しブームに乗っかった方々の一部が甘酒に戻ってきている可能性がある」とみている。
このような追い風が吹く中、「森永甘酒」ブランドでは新商品で新規ユーザーの掘り起こしに成功する。
2月に新発売した「甘酒 糖質30%オフ」は、糖の摂取を避ける“避糖”ニーズに対応して「森永甘酒」の新たな柱になりうる勢いで好調に推移している。
「“甘酒って健康によさそうだが、どうしても甘さや糖分が気になる”と思われている方々が多く、『糖質30%オフ』はその不満点解消を図った初めての商品。発売したところ、40代以上でこれからご自身の体に向き合い始める方など、これまで甘酒市場にいなかったお客様が入ってきている」という。
夏場は、4月からの勢いを加速させるべく「冷やし甘酒」に注力している。
「冷やし甘酒」の盛り上げへ好スタートを切ったのも新商品。6月13日に期間限定発売した「冷やし甘酒スパークリング」では30―40代の新規ユーザーを多く獲得した。
「『冷やし甘酒スパークリング』は物凄くよかった。スパークリングタイプは毎年フレーバーを付けて数量限定で発売しているが、『冷やし甘酒』では初めて。今回、フレーバーをつけなかったことで、安心感を付与でき、スタンダードなものとして受け入れられたとみている。『冷やし甘酒』は50―70代がメインユーザーだが、今回、次の甘酒ユーザーになり得る30-40代を獲得でき新たな収穫となった」と手応えを語る。
「冷やし甘酒」本体の活動としては、囲み取材に応じた7月20日、東京駅・東京おかしランド内「森永のおかしなおかし屋さん」でサンプリングイベントを4年ぶりに開催した。
11時と15時の2回にわけて計1000本をうちわとともに配布し、「森永甘酒」粉末タイプを加えてつくられた「森永甘酒ソフトクリーム」を販売した。
「冷やし甘酒」は6月から8月にかけて期間限定パッケージを展開。「“夏を乗り切る知恵”を記載して夏の需要を喚起していく」。
キャンペーンは、お笑いトリオ・森三中を起用した動画を用意して“この夏、あなたの救世主はどっち?うなぎ 対 冷やし甘酒 大決戦”と題したプレゼント企画をツイッターで7月31日まで実施している。
そのほか「森永甘酒」ブランドの活動としては飲み方・レシピ提案が挙げられる。
「『森永甘酒』粉末タイプ(100g)が好調に推移している。溶かして甘酒として飲めるほか、料理にも活用できるということで支持を集めている」と述べる。
なお渡部氏によると、甘酒のピークは夏場(6-7月)と冬場(12-1月)の2つに分かれるとした。
【写真】あっという間に予定数量を配り終え盛況となった森永製菓「冷やし甘酒」サンプリングイベントの様子