飛騨高山の老舗清酒蔵元・舩坂酒造店(高山市、有巣弘城社長)は3月25日、岐阜県で初となるウイスキーの専用蒸留所「飛騨高山蒸留所」を開設した。同施設は、07年に廃校となった旧高根小学校の校舎を活用。総投資額3.5億円。体育館に蒸留設備、校舎に貯蔵樽を置く。この4月中旬以降に本格稼働。初年度生産計画は4万ℓ。26年秋に、同蒸留所発のシングルモルトが発売となる予定だ。
「飛騨高山蒸留所」は標高920mに位置し、飛騨山脈(乗鞍岳・御嶽山)からくる清らかな水と雄大な大自然に囲まれたウイスキー造りに最適な環境にある。
敷地面積2千900㎡、そのうち蒸留所となる体育館は390㎡。ウイスキー造りの目玉であるポットスチル(蒸留器)は、同蒸留所開設プロジェクトチームにも名を連ねる富山県の三郎丸蒸留所が開発した世界初の国産鋳造製蒸留器「ZEMON」を採用した。
「私自身がフルーティなお酒が好きなので、香り高くフルーティなウイスキーができれば良いなと思っている。当蒸留所発のシングルモルトウイスキーは26年秋頃の発売を計画するが、その間は国内外から原酒を集め、それをこの地で熟成させたものでブレンデッドウイスキーを製造。先んじて『高山=ウイスキー』のイメージを作っていきたい」(有巣社長)。ウイスキー製造は、3~11月を予定。冬季の日本酒造りとの二毛作となる。
同日の開所セレモニー「開校式」には、田中明高山市長や北村斉高山商工会議所会頭をはじめ来賓・関係者約40人を招待。小学校閉校時に在籍した生徒や当時の校長も駆け付け、新たな船出を祝った。
冒頭あいさつで有巣社長は、「高根小学校という地域の宝を受け継いだからには、未来に住まう人々に大いなる力を与えられる存在、事業にしていかなければいけない。ウイスキー製造を通して、地域の多くの方々と連携、シナジーが生まれていけば良い。たくさんの方の笑顔と幸せにつながる蒸留所に必ずやしていきたい」と力強く宣言した。