清酒「獺祭」醸造元の旭酒造が主催する「最高を超える山田錦プロジェクト2022」の発表会が都内で開かれ、究極の山田錦を競った中からグランプリに農業組合法人水穂やまだ(熊本県阿蘇市)が選ばれた。第4回目。優勝米の「山田錦」は旭酒造が賞金3千万円で60俵を買い取り、その酒米で最高を超える酒造りに挑む。桜井一宏社長は「今回も農家の方々には技術の粋と手間をかけて素晴らしい酒米を作っていただいた。これを使ってわれわれが最高の日本酒を醸造させていただく。日本ならではの強みを追求して世界に挑戦していきたい」などと語った。
全国から90点がエントリーし、酒米等級検査員ら専門家による予審、結審を経てグランプリが決定した。注目されたポイントは前回より審査基準を変更したことだ。過去の常識(心白の大きさ重視)に捉われず、米中心部の心白が「中心に小さくしっかりと」なっていることに重点を置いた。余分なものをそぎ落とすことで、同社が理想とする透き通った味わいや華やかさ、繊細さ、きれいな甘みなどを追求するのに必要だという。
発表会の席上、前半に国内外の著名なソムリエらによる昨年の優勝米で仕込んだ「獺祭 最高を超える山田錦2021年度優勝米(英語名:Dassai Beyond the Beyond2022)」のテイスティングセッションを実施。「非常にしっかりとした余韻が残る」「華やかな香りと米らしい旨みが感じられる」などと絶賛された。
次いで表彰式が行われグランプリに選ばれた農業組合法人水穂やまだの中西洋介さんが登壇。「この喜びを家族や組合員と思い切りお祝いしたい」と感激した気持ちを語った。準グランプリの下八木営農組合(滋賀県)には賞金1千万円を贈呈。また特別審査員長を務めた漫画家の弘兼憲史氏が全体を講評した。
今回の優勝米で目指す酒質について、桜井社長は「審査基準を変えてまで高精白に適した酒米を選ばせていただいた。この特長を100%生かすため、ギリギリまで攻めながら磨き、最高に美味しい獺祭を追求する」などと意気込みを語った。
なお過去2回、グランプリを受賞した酒米で仕込んだ「獺祭」を世界で最も歴史ある「サザビーズ」オークションに出品して、21年11月に「獺祭 最高を超える山田錦2019優勝米」がサザビーズ香港で約84万円、22年9月に「同 最高を超える山田錦2021年度優勝米」がサザビーズNYで約115万円にてそれぞれ落札されている。